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“物価高対策”でインフレ加速の可能性も?祭りは「花火」200発減「焼きそば」500円→600円【news23】

経済
2025-12-03 11:41

物価高が祭りを直撃です。日本三大曳山祭の一つ「秩父夜祭」では恒例の花火が火薬の高騰で200発減っています。インフレが収まらないなか、高市政権が打ち出した物価高対策。家計への支援を行うなど期待感がある一方、さらにインフレが加速するとの見方もあります。私たちの暮らしはどうなっていくのでしょうか?


【図で確認】国の財政に対する市場の信認を失うと何が起きるのか


花火や屋台で…物価高の影響が“祭り”にも

12月2日から始まった日本三大曳山祭の一つ「秩父夜祭」。350年以上の歴史を誇る祭りですが、物価高の影響が出ています。


恒例の打ち上げ花火は2024年から200発減っています。原料の火薬の高騰で、尺玉1発の値段がここ2年で2万円以上値上がりしているといいます。


また、お祭りに欠かせない屋台でも…。
大判焼きは2025年、150円から200円と、50円値上げされました。


大判焼き店
「(今年も)粉から砂糖から、全て上がっている。上がっているが、去年と今年も同じ値段でやる。お客さんを増やしたいから我慢してやっている」


焼きそば店は、店頭に掲げている価格表示の金額部分を、白テープの上からマジックで上書きしており、明らかに値段が変わっています。


焼きそば店
「去年は500円で、今年は共通料金で600円。(Q.やっぱり500円でやりたい?)500円ですね」


秩父市では物価高対策として、「おこめ券」を独自に2025年8月から配っています。

政府も「おこめ券」や「電気・ガス代の支援」などの物価高対策を打ち出していますが、どのくらい期待しているか聞いてみると…


秩父市民
「直近ではガソリンの暫定税率がなくなる話は、すごく秩父地域だと車が欠かせないので助かる」
「出費と収入が変わらない、追い付いていない感じ。(おこめ券)もらってもすぐなくなっちゃうし、生活がそれでよくなっているかといえば変わらない」


物価高の影響は年末年始の食卓にも出ています。


クリスマスや年末年始にも?ケーキやおせちが値上げに…

福岡にあるケーキ店「ストロベリーフィールズ西新店」では、15㎝のホールケーキを2024年より100円値上げし、4900円で販売することに。


帝国データバンクによると、クリスマスケーキの平均価格は、材料費の高騰などで上昇を続けています。


【クリスマスケーキ 平均価格】※帝国データバンク調べ
2021年:3862円
2022年:4084円
2023年:4412円
2024年:4561円


そんな中、人気なのがローソンの「シンプルケーキ」。トッピングをなくすことで、苺ケーキ(税込み4990円)の半額である税込み2290円に抑えました。予約は2024年と比べ1.7倍と好調です。


おせち料理も値上がり。愛知県に拠点を置く惣菜メーカー「カネハツ食品」では、重箱に詰める33品目のほか、化粧箱・巾着袋・重箱などの仕入れ価格が上がり、三段重のおせち「彩鶴(和風三段重3~4人前)」を1万9800円と1000円値上げしました。


補正予算案の半分以上を「国債」で賄う“高市政権の物価高対策”

高市政権が打ち出した物価高対策など、補正予算案は全体で18.3兆円規模となっています。その半分以上の11.6兆円を国債でまかないます。


12月2日、国の財政を議論する「財政制度等審議会」が、片山財務大臣に対し“来年度予算案の意見書”を提出しました。その内容は…


財政制度等審議会 十倉雅和 会長
「戦略的な財政運営を行うと同時に、財政に対する市場からの信認を確実なものとすることも重要」


「安定的な財源の確保こそが求められる」と指摘。行き過ぎた積極財政にならないようクギを刺した形です。


国の財政に対する市場の信認を失うと何が起きるのか。
円の信頼が落ちる可能性があり、円安が進みます。輸入に頼る食料品やエネルギーを中心にインフレが加速します。物価高対策の財政出動なのに、さらなる物価高につながる可能性もあるのです。


国の財政をめぐっては、2日に自民党の税制調査会が開かれました。


自民党 小野寺五典 税調会長
「高市政権になりまして、新たな税調の体制のもと、今までと考え方を少し変えまして…」


どう変わったのか。目立つのが「減税」です。
すでに「年収の壁」は160万円に引き上げられていますが、さらに、国民民主党が求める178万円への引き上げとなれば、約2兆円の減税となります。

また、「ガソリン」や「軽油」の暫定税率の廃止で1.5兆円規模の減税となります。


財務省の幹部からは、「財政的には失うものが大きい。一方で、政府与党は得るものもある」という声があります。


国会では衆議院で与党が過半数に達しましたが、参議院では引き続き少数与党のため、野党の賛成が不可欠です。


TBS経済部 蓮井啓介 記者
「減税を受け入れないと国会がまわらない実情。どうしても国民受けのよい話ばかりが通る。増税とか国民負担の部分は先送り。最終的には財政悪化によるインフレにつながる可能性が出てくる」


「可能性は高い」物価高対策でインフレ加速か

藤森祥平キャスター:
今回、政府が打ち出す補正予算案18.3兆円の中で、物価高対策が約9兆円です。

全体の約64%は新たに国債を発行するという形で賄う。これが結果、更なるインフレ・円安を生む可能性も指摘されています。


【補正予算案18.3兆円の内訳】
▼物価高対策:約8.9兆円
・電気、ガス代補助
・子ども2万円給付 など

▼危機管理投資、成長投資:約6.4兆円

▼防衛費関連経費:約1.1兆円

→全体の約64%は新たな国債発行


小説家 真山仁さん:
物価高対策のために補正予算を組んで、インフレや物価高が高くなって円安が進むのかというのは、矛盾していますよね。まだ決まったわけではないですが、そういう可能性は高いと思います。

なぜなら、財源を補正予算の国債で担うという、あまり聞いたことがない状況が起きているからです。


現実問題で、今、長期国債の金利がずっと上がっており、財務省の人たちは「月曜日が来るたびにドキドキしている」と話しています。

これは“マーケットの信任を得ている”というのと、逆のベクトルが働いているからです。その理由としては、未来への投資も確かに大事だし、物価対策でお金を入れることも大事なのですが、基本的に、まず財源確保をした基礎をきちんとやらないと、何の対策をしても足元が寒い状況になっている。その状況が、心配などを超えてきて危険なのではないかと。

だから、なぜ国会議員の方たちはそれを「大丈夫ですか?」と声を上げないのか、正直驚きです。


藤森キャスター:
数字だけではなくて、もう少し中身や見通しなど、詳しい説明が欲しいですね。


小説家 真山仁さん:
何でも「困れば国債」というのはやめようという方向に行ったはずなのですが、一般会計ではなく補正でやってしまえば、大盤振る舞いするけどお金は知らないとなるのは、さすがに社会人として駄目でしょうというレベルになってしまっています。残念以上に困ったもんですね。


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〈プロフィール〉
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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