株などを一定額まで非課税で投資できるNISA。現在、18歳以上が対象ですが、0歳から投資できるよう検討が進んでいます。
【画像で見る】0歳から月5000円つみたてた場合のシミュレーション
“つみたて投資枠”対象年齢を未成年に拡大検討 背景に物価高
日比麻音子キャスター:
少額から始められるということで、「NISA」を利用している人が増えています。2014年1月から始まり、当時は492口座でした。
2024年度には新しい制度になり、「新NISA」となりました。金融庁によると、新NISAの口座数は2696万口座(2025年6月末)となっています。
TBS報道局経済部 証券担当 斧本匡平 記者:
(NISAは)かなり身近なものになっている感覚があります。岸田政権時に、「貯蓄から投資へ」という流れが加速し、それを受けているものと捉えることができます。今後も、こうした流れは基本的に続いていくと思います。
ただ、専門家に話を聞くと、ある程度「金融リテラシー」が高い人、投資に興味のある人が口座を開設したため、口座数は頭打ちの状態にある。「次は対象の年齢を広げていこう」というフェーズに変わったとの指摘もあります。
日比キャスター:
現状のNISAのシステムですが、定期的に投資ができる「つみたて投資枠」と、幅広い銘柄が投資の対象となる「成長投資枠」があります。これらは併用もできます。
【NISA(小額投資非課税制度)】
▼つみたて投資枠
投資対象:長期の積立・分散に適した投信(金融庁の基準満たしたもの限定)
投資枠:年間120万円
非課税保有限度額:成長投資枠と合わせて1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)
対象年齢:18歳以上
▼成長投資枠
投資対象:上場株式・投資信託など
投資枠:年間240万円
非課税保有限度額:(つみたて投資枠と合わせて)1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)
対象年齢:18歳以上
どちらの枠も対象年齢は18歳以上ですが、「つみたて投資枠」の対象年齢を、未成年(0歳~17歳)まで拡大する案が検討されています。
TBS報道局経済部 斧本記者:
拡大が検討されている背景には「物価高」があります。当然「教育」にもお金がかかります。子どもが小さいときから積み立てをしていくことで、中学や高校の入学時、塾や習い事など、一番お金がかかる大学以前にしっかりお金が使えるような形にするためにも、「制度を変えよう」という話が出てきています。「子ども支援」という側面もあります。
実質的に親の“第2口座”となる懸念も
日比キャスター:
街で、子どもを持つ親にも話を聞いてきました。
30代(子ども:5歳と3歳)
「活用したいが、進学などのイベントでプラスでお金が出るとき、NISAの資金に回せるか…」
30代(子ども:2歳)
「子どものお金の教育として、どう管理していくか一緒に考えたい」
3人の子をもつ蓮見さんはいかがでしょうか?
蓮見孝之キャスター:
適切な言い方かはわかりませんが、金融リテラシーについて、親と子が一緒に勉強する学びの教材としてはすごく良いだろうなという印象を受けます。
ただ投資に回すお金は結局、親の財布から出ます。「0歳から運用投資ができる」ということですが、果たしてお金の話ができる年齢は何歳ぐらいなのか、中・高校生くらいになり、やっと「投資・運用」という話ができるようになるのかなと思います。
大人がやっているNISAとは別に、「子どもを窓口にして、親がやるもの」になってしまうのではという懸念はあります。
日比キャスター:
NISA用の口座は一人ひとつまでですから、親にとっての第2の口座になってしまうのでは、という懸念もありますよね。
TBS報道局経済部 斧本記者:
子どもが自分で管理できる年齢になるまでは、それなりの時間がかかるため、それまでは実質的には親が管理します。
そのため本当に「子どものため」「教育のため」に使われるかどうかというのは、確認をしなくてはいけません。ただ現実的に確認ができるかというと、なかなか難しい部分もあるため、制度設計と共に議論していく必要があるかと思います。
高柳光希キャスター:
私は、お小遣いを現金でもらっていました。自分が親になったときに「お小遣いを口座に入れて、それをNISA口座にして…」と一つずつ段階を追っていくのは、マネーリテラシーを上げるうえでは、いい教材になるのかなと思います。
南波雅俊キャスター:
「どのくらいの年齢になったら投資や運用の話ができるか」という話がありましたが、仮に中学生のときに親から「実はあなたのNISAがある」という話をされたら、その段階で学ぶきっかけにもなると思います。大人になった後にも役に立つという意味では、私は賛成です。
廃止となった「ジュニアNISA」との違いは?
日比キャスター:
実は以前、子ども向けの「ジュニアNISA」というものがありましたが、廃止されています。
【廃止された「ジュニアNISA」】
対象:0~19歳(2023年から0~17歳)
投資枠:年間80万円
生涯・非課税投資総額:最長5年(総額400万円)
日比キャスター:
利用数は、2023年末までで124万口座と少なく、利用数が伸び悩んだ理由として「18歳まで払い出せない」という点がありました。
TBS報道局経済部 斧本記者:
一番お金のかかる中・高校の時に使えないということで、使い勝手の問題がありました。そのため今回の改正も、利用者の使い勝手を良くできるかがポイントになってくると思います。
日比キャスター:
このため、今12歳から払い出しを可能にする案が検討されているほか、下記のような検討が進められています。
【“こども向けNISA”案】
対象:0~17歳
投資枠:年間60万円
生涯・非課税投資総額:無制限(総額600万円)
日比キャスター:
子ども向けNISAを、0歳から月5000円で運用した場合のシミュレーションは、下記のとおりです。
【“子ども向けNISA”運用すると?】(年率5%で試算)
※金融庁「つみたてシミュレーター」で試算
将来の投資成果を予想・保証するものではありません
0歳:スタート(月5000円)
12歳:98万円(元本72万円)
=18歳以降は一般の条件を適用=
18歳:173万円(元本108万円)
30歳:408万円(元本180万円)
65歳:2803万円(元本390万円)
TBS報道局経済部 斧本記者:
課題もあります。貯金ではなく、あくまで投資でなので、リスクを理解した上で行うことが大切です。子どもの口座ではあるけれども、子どもは管理できないので実質的な管理者は保護者という点にも注意が必要です。
また原資がある人は投資ができますが、そうでない人たちのことをどのように考えていくかも重要です。
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<プロフィール>
斧本匡平
TBS報道局経済部 証券担当
税調を取材
趣味は旅行とお酒
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