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平熱が35℃台なら要注意 「低体温」な身体のコワサ

2016-11-08 12:00:34


執筆:南部 洋子(看護師)
監修:坂本 忍(医師・公認スポーツドクター・日本オリンピック委員会強化スタッフ)
「冷えは万病の元である」という言葉は、本当でしょうか?
人間の体は、36.5℃前後に保たれていて、それがもっとも活発に活動できる温度です。
しかし最近は低体温の人が増えているようです。その原因は食生活の乱れだといわれています。
低体温であることは身体へどのような影響を及ぼすのでしょうか?また、低体温の人は、病気になりやすいのでしょうか?
ご一緒に詳しく見ていきましょう。

日本人の平熱は36.5~37.1℃


体温とは、体の新陳代謝によってつくられた熱のことをいいます。
これは、心臓から送り出されるときの大動脈を流れる血液の温度です。熱は、内臓と筋肉から作られますが、血液を通して全身に運ばれます。
日本人の体温の平熱は、平均36.5~37.1℃とされており、1日のうちの体温変化は、ほぼ1℃以内におさまります。
体温が上がれば汗をかくことで熱を発散させて体温を下げ、寒くて体温が下がれば体の筋肉を震わせて体温を上げようとしています。

低体温の原因は?


低体温とは平熱が35℃台や、それ以下の状態のことをいいます。
最近では35℃台である「低体温」の人が増加しています。これは、身体が冷えて体温調節が正常に働かなくなっている状態を言いますが、低体温であるという自覚のない人がほとんどです。
低体温の主な原因は次の通りです。

冷たいものの摂りすぎ


無理なダイエット


ジャンクフードなどで偏った食生活によるビタミン、ミネラルの不足



また食生活だけでなく、冷暖房の完備、ストレスによる自律神経の乱れ、運動不足などの生活習慣でも低体温を招きます。
体温が低下していると血行が悪くなり、免疫力が低下します。
免疫の低下は、アレルギー、生活習慣病などを招きやすい状態です。風邪のときに、発熱するのは、免疫力を上げようとしているからです。
また女性にとっては女性機能の不全につながり、婦人科系の疾患リスクの向上や妊娠しにくい体へのリスクが高まります。
さらに、低体温により新陳代謝が低下するため脂肪を燃焼しにくくなります。つまり低体温は太りやすい状態になるのです。

がんは35℃台の身体がもっとも活発に


がん細胞は、酸素を必要としない「嫌気性代謝」という方法でエネルギーを獲得するため、酸素の少ない場所や温度の低い環境で活発に増殖します。
心臓にがんがないのは、心臓は体の中でも温度が高いからだと言われています。
これに対して、胃、大腸、子宮、乳房など冷えやすい場所にはがん細胞が増殖し易いのです。
がん細胞は、35℃台の低体温で最も活発になるということが明らかになっています。低体温の方は、要注意です。
さらに上述したように、低体温で免疫力が下がるとがんにかかりやすくなります。
カギはリンパ球なのですが、リンパ球は白血球の約35%を占める物質です。
そのなかに含まれるNK細胞は、がんを活発に攻撃してくれる細胞です。
ところが低体温になると、リンパ球が減少してしまいます。するとNK細胞の働きも減少するため、がんが増殖してしまうのです。
体温を1℃上げると免疫力は5~6倍もアップすることが分かってきており、がんを含む病気になりにくい状態を保つことができます。
またがん細胞は、通常の細胞より熱に弱いので、42.5℃位にして死滅させる温熱療法というものもあるのです。

低体温への予防や対策は


低体温を防ぐためには、体温をあげる生活習慣が大事です。
具体的には次のことに気を付けましょう。

入浴


シャワーだけでなく、1日1回・10分程度は、湯船につかりましょう。毎日続けることが大事です。

運動


ふくらはぎや太ももの筋肉を付けるにはスクワットがお勧めです。毎日行いましょう。回数は、各自の体力で無理しないように少しずつ増やしていきます。毎日30分、早足で歩くことも効果的です。

保温


体を冷やさないように腹巻きやタイツ、寒い時は、カイロや湯たんぽを使いましょう。

飲み物


冷たい飲み物ではなく、白湯(水を沸騰させたもの)を寝る前に飲むことで体が温まります。

食べ物


バランスのとれた食事が大切。亜鉛(肉類、魚類、魚介類、穀物など)鉄、ミネラル、ビタミンB1・B2などです。ストレス緩和の食べ物としては、かぼちゃ、ジャガイモ、トマト、玄米、などがいいでしょう。
最後に、煙草は血管を収縮させて低体温を助長させます。できる限り控えましょう。
平熱が低い人は、日頃から体温をあげるための生活を心がけることで低体温を予防し、がんになりにくい身体に近づくことができます。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

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情報提供元: mocosuku

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