冬なのにまた汗かいてる… 「汗っかき」は改善できる?
2016-12-20 18:30:27
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「冬でも、急いで駆け込んだ電車や暖房が効きすぎている場所などでは大量に汗をかいてしまって恥ずかしい…」
そんな悩みを抱える人は、男女問わず少なくありません。
気になると、日々のストレスにもなる「汗っかき」。改善する方法はないものでしょうか。
汗をかきやすくなる原因とその対策を探ります。
よい汗をかきにくい現代社会
悪者扱いされやすい汗。実は、身体にとって汗は必要不可欠なものです。汗には体温を調節するという重要な役割があり、人間の身体が正常に機能するために働いています。しかし、同じ汗にも「良い汗」と「悪い汗」があります。
身体の中の温度が上がると、血液から水分やミネラル分が汗腺に取り込まれ、汗を作る準備をします。
実際に皮膚の表面から汗が出るときには、必要なミネラル分は再吸収されます。
ところが、汗をコントロールする交感神経や汗腺の機能が鈍っていると、必要なミネラル分まで身体の外にでてしまいます。良い汗はサラサラしていますが、ミネラル分を含む悪い汗はべたつき、臭いも強くなります。
しかし、エアコンが普及している現代社会では、外の環境に合わせて体温を調節する機会が減っています。
また運動不足や睡眠不足、冷え性なども、汗をかく機能を低下させ、いざ暑くなったときや、急に動いたときなどに、汗がとまらなくなったり、べたつく汗がでる原因となります。汗っかきが気になる人は、まず普段の生活の中に、汗腺の機能を低下させる原因が隠れていないか、振り返ってみましょう。
肥満が原因の汗っかき
「ふくよかな人はよく汗をかいている」こんなイメージを持っていませんか?
実際に、皮下脂肪や内臓脂肪が多い人は、身体の中に熱がこもりやすく、たまった熱を身体の外へ放出しにくい傾向があります。それでも身体は適切な体温を維持しようと調整するため、汗を盛んに出そうとします。
太って汗をかきやすくなった、という人は適切な体重を目指して、食事や運動習慣を見直してみましょう。
運動を継続すると、汗腺の機能が高まり、よい汗がでるようになります。汗っかきの改善に効果的な方法といえるでしょう。
食生活にも要注意
日々の食生活と汗に深く関わっています。食べ過ぎや高カロリーな食事は、肥満につながることはもちろんのこと、タンパク質が豊富な肉類を摂りすぎると、消化のために多くのエネルギーが必要となります。その結果、身体に熱がこもりやすくなり、汗をかく原因にもなるのです。
さらに、食生活の偏りは汗の臭いにも影響を与えることがあります。
外食が続いていたり、普段お肉のおかずばかり食べている人は、魚や野菜、きのこ類、海藻なども取り入れ、バランスの良い食事を心がけましょう。また、スパイスが聞いた料理や辛い食べ物にも発汗作用があり、汗っかきの原因となります。
汗に気を遣う場面では、控えるようにしましょう。
緊張やストレスが原因の汗
緊張や不安、ストレスを感じるときにかく汗のことを「精神性発汗」と呼びます。
これは過度のストレスが、汗をかく働きに関連する交感神経を刺激することで起こるものです。日々の仕事や家事に追われて息をつく暇がない人、眠りが浅かったり、なかなか満足に眠れない人などは、気づかぬうちにストレスをため込んでいる可能性もあります。
自律神経のバランスを整えるため、気分転換やゆっくりと入浴する時間を設けましょう。そして、何より十分な睡眠を確保するようにしましょう。また、緊張する場面では大きく深呼吸するなど、自分がリラックスできる対処法をみつけておくことも大切です。
病院の受診も検討を
汗をかくことは正常な働きです。気にしすぎることは、かえって汗をかいてしまう原因となります。しかし、次のような場合には、病院で相談することも検討してみましょう。
更年期の症状が気になる時
40~50代の女性は、閉経にともない、ホルモンのバランスが大きく変化します。その結果、更年期障害の症状のひとつとして、汗がとまらなくなる場合があります。
婦人科ではホルモンバランスを整える漢方薬などが処方され、汗が改善することもあります。当てはまる場合には、相談してみましょう。
過度のストレスを抱えている時、頭痛やめまいなどの症状がある時
疲労やストレスなど、さまざまな原因で自律神経のバランスが崩れ起こる「自律神経失調症」。発症することによって、多量の汗や頭痛、めまいといった症状が現れます。
複数の症状があったり、長期間疲れが取れない場合には、我慢せず、一度病院を受診しましょう。
そのほか、汗をかきやすくなる病気
糖尿病やホルモンの調節に関わる甲状腺の病気は、症状として汗をかきやすくなることがあります。
以前に比べて急に汗をかきやすくなったり、全体的に体調が悪いという場合には、別の病気が関わっている可能性があることもあります。頭の片隅に置いておきましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<執筆者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku