これって「マリッジブルー」? 放っておけば治るもの?
2016-12-23 18:30:12
執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
「結婚するならこの人しかいない!」と思っていたはずなのに、実際に結婚が決まった途端、気持ちが落ち込んだり、相手にイライラしたり・・・。
このような現象のことを一般的に「マリッジブルー」と呼んでいます。
それではなぜ、マリッジブルーになるのでしょうか?
対処法もあわせて、詳しくご説明していきましょう。
結婚はストレスが大きいライフイベント
人生にとって一大イベントである結婚。一見すると幸せの絶頂のようにも見えますが、実は、結婚はかなりストレスがかかるライフイベントのひとつです。
1967年、アメリカの研究者であるホームズと医師であるレイは、人生のライフイベントを点数化した「社会再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale;SRRS)」を作りました。
そして2008年、大阪樟蔭女子大学大学院の夏目誠教授は、SRRSをもとに、日本版の「勤労者のストレス点数」を作成しました。
これによると、結婚はさまざまなライフイベントの中で、「引っ越し」や「軽度の法律違反」よりもストレス点数が高いとされています。
自分では「婚約して幸せいっぱい」と思っていても、気がつかないうちに結婚によるストレスはたまっていきます。
そして、マリッジブルーといわれる状態になることがあるのです。
マリッジブルーになる理由
結婚は「大きなストレスがかかるライフイベント」だと考えれば、その直前に気持ちが落ち込んだり、イライラするというのは当然の反応といえます。
具体的には、次のような出来事によってストレスを感じることが多いようです。
独身から既婚者へ変化することへの不安
結婚は、人生の中では大きな変化のひとつです。進学や就職など、新たな生活が始まるときに不安を感じるように、結婚前にも不安を感じることは何ら不思議なことではありません。
新たな人間関係の構築
結婚が決まると、一般的にまず行われるのはお互いの両親・親族へのあいさつでしょう。
義理の親子関係・親戚関係というのは、世間のさまざまな人間関係の中でも特殊な関係のひとつともいえるため、関係を構築するまでには、精神的に大きな負担となります。
結婚式の準備
最近は結婚式を行わなかったり、少人数で小さく行うことも増えてきましたが、それでも結婚式は多くの人が憧れるイベントのひとつであることに変わりません。
ただ、そのために膨大なエネルギーやお金がかかるのも事実です。婚約者との意見が対立したり、相手が思ったように動いてくれなかったりすると、「この人と結婚して良いのだろうか」と不安になったり、相手への不満がたまり、マリッジブルーになることもあるでしょう。
ましてや結婚式に大きな理想を持っている人は、相手と対立しやすい状況になるかもしれません。
このように、結婚にはさまざまな変化や出来事がともないます。
ですから、これらを前にして気持ちが不安定になることは、ある意味、致し方ないことといえるでしょう。
また、「マリッジブルーは女性がなるもの」と思っている方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。かつてに比べて女性が働くことが一般的になってきたこともあり、結婚式の細かい準備や調整などをどちらか一方に任せておけば済む、ということも減ってきました。
そのため、マリッジブルーになる可能性は、男性も大いにあるのです。
ではマリッジブルーになってしまったら、どうすればよいのでしょうか?
マリッジブルーになったらどうすればいい?
マリッジブルーは結婚にともなう変化や出来事に対して起こる自然な反応で、基本的には放っておいても問題はありません。しかし対処したい場合には次のことを試してみてください。
まずは、誰にでも起こり得る精神的な反応であると認識しましょう。
自然なことであると自覚することで、相手への非難する気持ちも多少は抑えられ、不要なケンカを減らすことにもつながります。
また自分の不安な気持ちを相手へ伝えることも方法のひとつです。
ただし、やみくもに不安であると伝えるのではなく、まずは自分が何に対して不安を感じているのか、イライラの原因はどこにあるのか、自分自身で気持ちと向き合い整理してみましょう。
先ほどお話ししたように、マリッジブルーはそれ自体が病気というわけではありません。
しかし中には精神的な不安が長引くことで抑うつ状態や、軽度のうつ病のような状態に陥ることもあります。2週間以上、よくうつ状態が続く場合には、心療内科で相談してみましょう。
<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku