今や必須?歯医者さんもすすめる「歯間ブラシ」
2017-01-15 18:30:46
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
普段、お口のケアには何を使っていますか?
歯ブラシを使用しているのは成人の約9割、歯間ブラシやデンタルフロスを使っている人は3割程度と言われていますが、多くの歯科医師は「歯間ブラシは使った方がいい」と口を揃えて言います。
歯間ブラシを使うとどんなメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
歯ブラシだけでは汚れがとれていない?
実は、毎日丁寧に歯ブラシで歯を磨いている人でも、汚れを充分に取ることができていません。
歯の間には、食べかすや歯垢(しこう)が溜まっています。
別名「プラーク」とも呼ばれる歯垢は、歯の間や表面にもつきやすいネバネバした白色のもので、代謝物や細菌の塊でできています。歯垢1mgの中にはなんと、およそ1億〜10億個もの細菌が存在します。
そんな歯垢や食べかすが歯の間に残ったままでいると、虫歯や歯周病、口臭の原因にもなってしまいます。
ところが、日本歯科保存学会誌によると、歯ブラシのみを使用している場合、歯垢は約61%しか除去できていませんでした。
一方で歯ブラシとデンタルフロスを併用すると約79%、歯間ブラシを併用すると約85%まで歯垢除去率は上昇しています。
つまり、歯ブラシだけでは取り切れない汚れを落とすためには、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が欠かせないといえます。
では、どのような歯間ブラシをどのように使えば、効果的なのでしょうか。
歯間ブラシの種類と使い方
歯間ブラシは歯医者や薬局で購入することができます。
歯並びや歯の隙間の個人差に合わせて、歯間ブラシにも多くの種類があるため、自分の歯の状態に合ったものを選ぶことが大切です。
基本的には、SSS、SS、S、M、Lの5段階のサイズがあります。歯の隙間に合わない歯間ブラシを無理に使用すると、出血したり歯茎を傷つけたりしてしまう可能性があるので、小さいサイズから試しましょう。
また、ブラシには毛のタイプやゴムタイプがあったり、形にも「L字型」と「I字型」の2種類があります。奥歯に使用しやすいのはL字型と言われますが、歯と歯茎に負担をかけず使えるものを選びましょう。
実際に歯間ブラシを使用する際は、鏡をみながらゆっくりと、やや斜めの各度で歯間ブラシを歯と歯の間に挿入します。隣り合う歯をそれぞれ磨くイメージで前後に数回動かしましょう。
繰り返し使うことができますが、使用後は流水できれいに洗い流し、しっかりと乾燥させておく必要があります。
また歯間ブラシの毛先が短くなったり、バラバラになってきたら、新しいものに交換しましょう。
歯間ブラシとデンタルフロスの違い
デンタルフロスも歯間ブラシと同じように、歯と歯の間の汚れを落とすためのアイテムです。
どちらも正しく使えば歯垢除去に効果的ですが、糸状のフロスを指に巻きつけ使用するデンタルフロスは、コツを掴むまでやや使いづらい場合がありますが、歯と歯の間が狭い人や、歯間ブラシを入れる隙間がない人はデンタルフロスを使用したほうが、汚れを取りやすいでしょう。
ですから、歯と歯の間が狭く歯ブラシで十分に磨けないため虫歯になった、という人にはデンタルフロスがおすすめです。
一方で、歯茎は年齢を重ねたり、歯周病の症状によって少しずつ下がり、歯と歯の間が広がっていくこともあります。
隙間が広い場合には歯間ブラシを使用した方が、歯垢を効果的に除去できます。
またブリッジ治療と呼ばれる歯の治療を行っている人も、抜歯後につなげた歯の部分に汚れが溜まりやすく、上からデンタルフロスを通すことはできないため、歯間ブラシで磨きましょう。
定期的な歯科受診も忘れずに
歯間ブラシのメリットをお伝えしてきましたが、はじめにお伝えした通り、歯ブラシと歯間ブラシを併用しても歯石除去率は約85%です。
つまり残りの約15%は少しずつ蓄積され、歯石(しせき)として歯茎の内側などに溜まっていく可能性があります。
歯石は日常のケアでは取れず、すぐに身体に悪影響を与えるものではないため神経質になる必要はありませんが、3ヶ月に1回程度歯科を受診し、クリーニングしてもらうことがおすすめです。
そのほか、歯間ブラシやデンタルフロスの選び方・使い方で迷ったり、歯茎からの出血・痛みといった不調がある場合も、歯科で相談する必要があります。
お口のプロである歯科を味方につけ、歯の健康を守りましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku