E START

E START トップページ > マガジン > 高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

高齢者だけとは限らない!「骨粗鬆症」の問題

2017-02-14 18:30:38


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
高齢者がかかる病気というイメージが強い「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」。
骨粗鬆症は加齢によって発症率が高くなる病気ですが、実は、若い世代でも骨粗鬆症を発症することがあります。
どんなことが原因で骨粗鬆症が引き起こされるのか、見ていきましょう。

そもそも骨粗鬆症って?


骨粗鬆症とは、骨の強さ(骨強度)が低下して骨折しやすい状態になる病気のことです。
骨強度は、骨の容積当たりの骨量(骨塩量)を示す「骨密度」と、骨の質を表わす「骨質」の2つによって決まっています。
このうちのどちらか一方、あるいは両方が低下することで骨強度が低下し、成人若年(20~44歳)の70%未満であるときに、骨粗鬆症と診断されます(※)。
では、骨強度の低下はなぜ起こるのでしょうか?
実は、骨強度の低下は骨の新陳代謝(リモデリング)と大きく関係しています。
骨の新陳代謝とは、古くなった骨が破壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる骨形成が繰り返されることを指します。
通常は、骨吸収と骨形成がバランスよく行われていますが、何らかの原因によってこの新陳代謝のバランスが崩れて骨吸収が進むと、骨強度が低下し、骨粗鬆症が引きおこされてしまいます。
どのようなことが骨粗鬆症の原因となるのでしょう?次から説明していきます。

骨粗鬆症の原因


骨粗鬆症は、発症する原因によって次の2種類にわけられます。

原発性骨粗鬆症


加齢や閉経、遺伝的な要因などによって骨密度が低下して発症するタイプ。
骨粗鬆症は、高齢者が発症しやすい病気として知られていますが、これは40代をピークに骨量が低下し始め、骨強度が下がるためです。

続発性骨粗鬆症


もうひとつが膠原病やリウマチなどの病気、薬(ステロイドなど)、栄養障害などが影響して発症するタイプ。生活習慣病が原因となることもあります。

骨粗鬆症は女性がかかりやすい理由:骨粗鬆症と閉経


骨粗鬆症は、50代以上の女性が発症しやすい病気です。
それは、加齢による骨強度の低下に加えて、閉経が大きく影響しているためです。
女性は閉経前後になると、次第に女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌量が減少します。
エストロゲンは骨吸収を抑制し、骨形成を促す働きがあるため、閉経によるエストロゲンの減少は骨密度を低下させ、骨粗鬆症を引き起こす誘因となるのです。
ここまでご説明してきたように、骨粗鬆症は50代以上の女性に発症しやすい病気です。
しかし、中には若い世代でも発症することがあります。それはなぜなのでしょう?

若い世代でも発症する理由って?


骨粗鬆症は、加齢や閉経が発症に大きく影響しているため、若い世代の発症率は高くありません。
しかし、生活習慣が乱れていると、若い世代でも骨粗鬆症を発症することがあります。
具体的に、どんな生活習慣が影響するのかを見ていきましょう。
・食生活が乱れている
骨の形成に必要なカルシウムが不足していると、骨粗鬆症を引き起こす要因となります。
また塩分や糖分、アルコール、カフェインの摂りすぎは、カルシウムを排泄する働きを高め、カルシウム不足を招きます。
さらに、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、ビタミンD不足も発症の要因となります。
・日光を浴びていない
ビタミンDは、日光を浴びることで活性化し、充分に機能することがわかっています。そのため、ビタミンDを摂取することに加えて、日中、太陽の光を浴びる習慣も重要です。
・運動不足である
運動は、筋肉だけでなく、骨強度を高める上でも重要な役割を果たしています。そのため、運動不足も骨粗鬆症の発症と無縁ではありません。
・喫煙の習慣がある
タバコには胃腸の働きを弱め、カルシウムを吸収しにくくします。
・過度なストレスにさらされている
過度なストレスは、腸の働きを弱め、カルシウムの吸収を悪くします。
・必要以上のダイエットを行っている(摂食障害)
摂食障害のひとつである拒食症の症状として、骨粗鬆症が挙げられます。
これは、過度なダイエットによって栄養不足の状態が続くと骨量が減少し、骨粗鬆症を引き起こすためです。
さらに女性の場合、体重が著しく減少することでエストロゲンが減少するため、骨密度が減少し、骨粗鬆症を引き起こすことがあります。
以上の生活習慣をみると、若い世代にありがちな習慣ばかりですね。
骨粗鬆症を発症すると、ちょっと転倒しただけでも骨折してしまい、日常生活に支障をきたしてしまいます。
「自分は若いから関係ない」と思っている方も、普段の生活を見直してみましょう。
【参考】
・日本骨代謝学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015)」http://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf
・日本医師会「健康の森」https://www.med.or.jp/chishiki/kotu/002.html
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

関連記事

情報提供元: mocosuku

  • Twitter投稿
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気記事

この記事へのFacebookのコメント