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ジェネリック医薬品、どうして安いの?危険なの?

2017-07-03 18:30:15


執筆:大田 あこ(薬剤師)
近年、薬局でお薬をもらうとき、ジェネリック医薬品に変更しますか?と尋ねられることが増えています。
突然、ジェネリック医薬品への変更を問われても「ジェネリック医薬品って何?」「効果はあるの?」「安全なの?」など、不安に思われるかもしれません。
そこで、ジェネリック医薬品とは何なのか、その基礎知識と安全性についてご紹介いたします。

そもそもジェネリック医薬品とは?


病気のさまざまな症状を改善する医薬品には、大きく分けて、薬局や薬店で処方箋なしで購入できる「一般用医薬品(市販薬)」と購入には医師の処方箋が必要な「医療用医薬品(処方薬)」があります。
「ジェネリック医薬品」は、医療用医薬品で使われる用語です。
ジェネリック医薬品は「後発医薬品」ともいわれ、「先発医薬品」の特許期間(特許が出願されてから20~25年)が終了した後に、製造・販売されます。
先発医薬品とは、名称の通り、先に開発・販売された医薬品のことで、研究・開発された新しい有効成分の薬(新薬)です。
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分を同じ量含有しており、先発医薬品と同等の効果、安全性があると厚生労働省が認めた医薬品です。
原則的に効能や効果、用法、用量は先発医薬品と同じです。

ジェネリック医薬品は、どうして安いの?


通常、ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べて、約3~7割程安い薬価(薬の値段)で購入することができます。
先発医薬品と同じ成分で効果も同じであるのにどうして薬の値段が安くなるのか、不思議に思う方も多いかもしれません。
これは、医薬品が製造販売されるまでにかかる期間と費用の差にあります。
先発医薬品(新薬)が製造販売されるまでには、まず新しい有効成分を見つけることから始まります。次に薬になり得るかどうか、その有効性や安全性について動物実験や臨床試験などをはじめ、数多くの研究が必要です。
通常、ひとつの医薬品ができるまでに数十年の期間を要します。また、その費用も数百億~数千億円かかるといわれています。
一方、ジェネリック医薬品は、先発医薬品によって有効性や安全性などがすでに確認されている有効成分を製剤化(薬として使いやすい形にすること)するため、研究開発にかかる期間が短くなり、また費用も抑えられます。
このため、先発医薬品に比べ、ジェネリック医薬品の薬価(薬の値段)は安くなるわけです。
長期間服用する薬が必要な患者さんには、医療費の負担軽減になりますね。

ジェネリック医薬品の効果は?安全なの?


ジェネリック医薬品と先発医薬品は全く同じものなのでしょうか?
先発医薬品の中には、有効成分に対する特許の他に、製造法についての特許(製剤特許)を取得している場合があります。
この特許期間中は、先発医薬品と同じ添加剤や製法で作れないために、異なる添加剤や製法で作られているジェネリック医薬品もあります。
また中には、先発医薬品よりさらに剤形が工夫され、より飲みやすく、保存しやすくなる場合もあるのです。
このように、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と全く同じものもありますが、少し違うものもあります。
とはいえ、今まで服用していた薬と同様の効果があるのか? そもそも安全なのか?
そこが気になるところですよね。
ここまでお話ししてきたように、ジェネリック医薬品は、有効成分の有効性や安全性は、先発医薬品ですでに確認されていますが、製剤として先発医薬品と効果や安全性に違いがないかについて、数々の試験が行われます。
具体的には、「ジェネリック医薬品」としての承認を受ける際に、厚生労働省に下記の試験データを示す必要があります。


  • ・製剤が先発医薬品と同じように溶けるか

  • ・有効成分の体内への吸収の速さや量が先発医薬品と同じか

  • ・製剤保存中の気温や湿度、光に対する安定性に問題はないか、など



そしてその提出されたデータを基に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA;医薬品や医療機器等の承認審査や健康被害救済、販売後の安全対策などを行う機関) において審査が行われ、先発医薬品と同等の効果や安定性、安全性が示されたものだけが、ジェネリック医薬品として承認されます。

ジェネリック医薬品に変更するには?


現在、先発医薬品が処方されていても、処方箋の変更不可欄にチェックの入っていない場合は、薬局で薬をもらう際に、薬剤師と相談の上、ジェネリック医薬品への変更が可能です。
ただし、先発医薬品の特許期間中であるため該当するジェネリック医薬品がない場合や、処方箋の変更不可欄に医師のチェックが入っている場合は変更できません。
また、ジェネリック医薬品の中には、先発医薬品と添加剤が異なる場合があります。
ジェネリック医薬品へ変更した場合は、発疹やかゆみなどのアレルギー症状がでないか注意しましょう(ただし、「添加剤によりアレルギー反応を起こす」というリスクは、その人の体質によって、先発医薬品にもジェネリック医薬品にも同じようにあります)。
ジェネリック医薬品に変更することで、医療費の負担が軽減されることや薬剤によっては先発医薬品よりも大きさや味、においが飲みやすくなる場合もあるなどのメリットがあります。
また「一度ジェネリック医薬品に変更したら、先発医薬品に戻せない」ということはありません。
元に戻したいと思ったら、主治医や薬剤師に相談くださいね。
【参考文献】
・政府広報オンライン『安心して利用してくださいジェネリック医薬品』 政府広報オンライン(http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html#anc01)
・厚生労働省『ジェネリック医薬品の疑問に答えます』厚生労働省(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/02_120713.pdf)
<執筆者プロフィール>
大田 あこ(おおた あこ)
薬剤師。某大学病院で調剤業務ならびに病棟薬剤業務に12年従事。現在は育児に奮闘しながら医療系記事の執筆を中心に活動中。

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情報提供元: mocosuku

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