あなたの顔にも…! 顔ダニをご存じですか?
2017-09-29 18:30:30
執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「顔ダニ」というコトバを聞いたことはありますか?
文字通り顔にいるダニのことを指しますが、そもそも顔にダニがいるなんて驚く人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、顔ダニとはどういうもので、どのような影響があるのかを、解説していきます。
顔ダニとは?
顔ダニとは、皮膚の毛包(毛穴を取り囲む組織)や皮脂腺(皮脂を分泌する腺)に住んでいるダニのことで、専門的には「毛包虫(もうほうちゅう)」と呼ばれます。
一般的には「ニキビダニ」などと呼ばれることもあります。
実は、顔ダニ自体は珍しいものではありません。
私たちの皮膚や毛穴には、さまざまな細菌が生息しています。これらは常在菌と呼ばれ、その数は数百億個にのぼるともいわれています。
「細菌」と聞くと悪いイメージを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、肌を守る役割を果たしているものもいて、それ自体が悪いものばかりではありません。毛包虫も常在菌のように、毛包などに住みついている常在虫です。
毛包虫は0.1~0.4mmほどの大きさのため、肉眼で確認することはできません。ですが、成人であればほぼすべての人の皮膚に存在しているといわれています。
ただ、病原性は低く、通常であれば悪い影響を与えることは少ないと考えられています。
顔ダニは皮脂をエサにしているため、皮脂の分泌が多い鼻や額などに多く存在します。
顔ダニが原因で起こる皮膚症状
先に述べたように、顔ダニの病原性は低いのですが、その数が異常に増えてしまうと、発疹の原因となることがあります。
その理由は、増殖することで顔ダニによる老廃物や死骸も増え、それが毛包周辺で炎症を起こすためだと考えられています。
このような顔ダニが増えることが原因で起こるニキビのことを「毛包虫性ざ瘡」といいます。
大人になってからできるニキビのことを一般的に「大人ニキビ」などといいますが、中でも化膿するなど、なかなか治りにくいものは「難治性ニキビ」と呼ばれています。この難治性ニキビの場合、一般的なニキビではなく、毛包虫性ざ瘡の可能性があり、とくに中年女性に多いといわれています。
毛包虫性ざ瘡の原因は、大きく薬によるものと、誤ったスキンケアによるものの2つが考えられます。
その1:薬によるもの
とくにステロイドの外用薬を使用している場合、カビや顔ダニが皮膚で増殖してしまうことがあるといわれています。
その2:誤ったスキンケア
化粧を落とさずに寝てしまうなど、皮膚が清潔でない場合、皮脂がたまって顔ダニが増えることがあります。
また、反対に必要以上に洗顔をする、保湿ケアを行わないなどして乾燥が進むと、肌を守るために過剰に皮脂が分泌され、顔ダニの増殖につながります。
毛包虫性ざ瘡の治療と予防法
吹き出物がなかなか治らない場合は、まずは皮膚科を受診し、原因を探しましょう。
毛包虫性ざ瘡の可能性がある場合は、顕微鏡などで吹き出物の内容物を調べる検査を行います。その結果、顔ダニの増殖が発見された場合には、外用薬や内服薬を使いながら、不要な顔ダニを取り除いていきます。
予防法としては、まずは正しいスキンケアを行うことが重要です。
毎日クレンジングや洗顔をし、保湿ケアを行うようにしましょう。とくに洗顔は1日に何度も行うと乾燥や皮脂の過剰分泌の原因になるため、朝と夜の2回までにしましょう。
また、不規則な生活リズムや過度なストレス、偏った食生活などは、ホルモンバランスを乱して皮脂の分泌を促すことにつながります。
ですから、生活習慣を見直すことも、顔ダニの増殖を防ぐ上では必要なことといえます。
お伝えしたように、ステロイドなどの薬の影響で顔ダニが増えることがあります。
そのため、ステロイドなどの薬を使用した後に吹き出物が増えたなどの症状がある場合は、病院を受診するようにしましょう。
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku