そろそろ冬本番。やっぱり「冬は太りやすい」季節なの?
2017-11-20 18:30:06
執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
一般的に、季節のなかでは太りやすいというイメージがある“冬”。
一方で、実は冬は夏よりも痩せやすい季節ともいわれています。
どうして、両極端な見方があるのでしょうか。
今回は、冬が「太りやすい」または「痩せやすい」、といわれる理由についてご説明しましょう。
冬に太る人が多い理由
サニーヘルス株式会社が2017年に実施したアンケート調査によると、「年末年始にかけて体重が増えた人」は全体の約6割にものぼりました。
冬に太りやすい理由として、忘年会や新年会、お正月の帰省などイベントが多く、食べる量やお酒を飲む量が増えることが挙げられるでしょう。
また、気温が低くて血行が悪くなる上、悪天候で外出を控えるという事情から、運動不足になりがちであることも一因になりそうです。
冬が痩せやすいといわれる理由
冬に太りやすい要因が複数ある一方、逆に夏に比べて痩せやすいともいわれています。
その理由は、基礎代謝量にあります。
私たちのカラダは、何もせずじっとしている時も、生命活動を維持するために心拍や呼吸、体温調整などにエネルギーを消費しています。
これらの活動で消費される必要最小限のエネルギー量を「基礎代謝量」といいます。
基礎代謝量は、1日に消費するエネルギー量の約6割を占めています。
また、運動や家事など日常で身体を動かすときに使われるエネルギーは約3割です。
残りの約1割は、食事をした後、消化吸収の過程で一部が熱となり消費されるものです。
基礎代謝量には個人差があり、性別や年齢、体格などにも左右されます。
そして、四季のある日本においては、季節によっても変動があるのです。
冬は1年の中でもっとも基礎代謝量が多いといわれています。
冬に基礎代謝量が多くなる理由
冬は外気温が低くなりますので、カラダは体温を上昇させようと熱産生をおこなうため、その分、基礎代謝が上がると考えられています。
近年は住宅環境の整備などにより、基礎代謝量の季節変動は少なくなったという見解もありますが、それでも、一年を通じて基礎代謝量が上がるのは冬であるという調査報告もあります。
結局、冬は「太りやすい」「痩せやすい」のどっち?
1年を通して全く同じ生活をしていれば、冬は基礎代謝量が高くもっとも消費エネルギーが多いですから、太りにくい季節といえるはずです。
そうは言っても、実際に1年間同じ生活を送れる人はほとんどいません。
また、総エネルギー消費量は、基礎代謝量だけではなく、「身体活動量によって決まる」ともいわれています。
つまり、基礎代謝が上がるという理由のみでは、必ずしも冬が痩せやすい季節だとはいえないのです。
季節による「太りやすさ」の違い
このように、「太りやすさ」は季節の影響を受けるとともに、生活習慣や身体活動量なども大いに関係しています。
ですから、特定の時季に太りやすいというアナタ(そうでなければ失礼しました)。
まずはその季節の生活習慣を振り返ってみませんか。
とくにこれからの季節は、前出のアンケート結果のとおり、太りやすい要素がたくさんあります。
だからこそ、意識的に運動量や活動量を増やして、太りにくい生活を心がけたいものですね。
【参考】
・サニーヘルス調査レポート「2017年も60.8%もの人がお正月太りに! あなたは何kg増えた? アンケート集計結果発表」(https://microdiet.net/research/001067.html)
・厚生労働省e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-003.html)
・厚生労働省e-ヘルスネット「食事誘発性熱産生 / DIT」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html)
・大島寿美子ほか 栄養学雑誌 第6号「基礎代謝の加齢並びに季節変動」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/30/6/30_6_240/_pdf)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku