E START

E START トップページ > マガジン > カロリーゼロの人工甘味料や天然甘味料… 砂糖との違いや注意点は?

カロリーゼロの人工甘味料や天然甘味料… 砂糖との違いや注意点は?

2018-01-26 18:30:21


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
「カロリーオフ」「カロリーゼロ」などのキャッチコピーがついた食品や飲み物などは、今やすっかり私たちの日常に浸透しました。
このカロリーダウンを実現できるのは、やはり甘味料の存在が大きいでしょう。
ところで、砂糖の代わりに人工甘味料や天然甘味料を使用しても健康に影響はないのでしょうか?
そして、甘いのにカロリーゼロ、というのはどういう仕組みなのでしょうか?
今回は人工甘味料や天然甘味料について、詳しくみてみましょう。

甘味料の種類


甘味料には大きく分けて「糖質系」と「非糖質系」があります。
糖質系は甘みを出す目的で昔から使用されていて、砂糖、ブドウ糖、オリゴ糖、果糖、水あめなどが代表的です。
いずれもカロリーはあります。
ただし、糖質系のうち「糖アルコール」と呼ばれる甘味料にはカロリーゼロのものがあります。
一方、非糖質系は「天然甘味料」と「人工甘味料」に分けられ、どちらもカロリーゼロのものがあります。
カロリーゼロの甘味料には次のような特徴があります。

糖アルコール


天然にも存在しますが合成により大量生産できます。
天然にも存在することから、身体への影響は少ないといわれていますが、過剰に摂取するとお腹が緩くなるなどの副作用があります。
糖アルコールは、吸収されにくいため低カロリーです。
なかでも最もカロリーが低いエリスリトールは、100gあたり0.24kcalで、これは「0kcal」と表示してよいと定められています。

非糖質系天然甘味料


植物から抽出した自然の甘味料です。
ステビア甘草などがあります。
ステビアは砂糖の100倍の甘み、甘草は50~200倍の甘みがあります。

非糖質系合成甘味料


人工的に合成された甘味料で、砂糖などでは出せない高度な甘みを出すことができます。
アスパルテームアセスルファムカリウム、スクラロースなどがあります。
アスパルテームとアセスルファムカリウムは砂糖の200倍、スクラロースは砂糖の600倍の甘みで、体内に吸収されません。

甘いのにカロリーゼロの理由


これらは砂糖と同じように「甘み」を感じるのに、どうしてカロリーがゼロなのでしょうか。
前述のとおり、甘味料はそれぞれ甘さの度合いが異なります。
たとえば、アスパルテームは砂糖の200倍ほどの甘みですから、砂糖1gと同等の甘さをアスパルテーム0.005gで出せるわけです。
また、砂糖のカロリーは1gあたり4kcalほどなので、アスパルテームで砂糖と同じ甘さを出す場合は0.02kcalということになります。つまり、ほぼ0kcalなのです。
また、人工甘味料などの中には体内に吸収されない、すなわち体内でカロリーとして使用されないためカロリーがゼロであるといわれる場合もあります。

天然甘味料や人工甘味料を利用するメリット


カロリーを抑える


人間が生きるためにはエネルギー(カロリー)が必要です。
しかし、過剰な分は脂肪として蓄えられ、肥満から生活習慣病などを招く要因にもなります。
そこで、少量の天然・人工甘味料などを使用することで、余分なカロリーを抑えられます。

血糖値の上昇を抑える


血液中の糖質の濃度を血糖値といいます。
糖質を摂ると正常な反応として血糖値が上がりますが、急な上昇は身体に悪影響を及ぼします。
よって、体内に吸収される糖質が少ない天然・人工甘味料にすれば、血糖値の上昇を抑えることができます。

天然甘味料や人工甘味料が健康に与える影響


食品に使用される場合は「食品添加物」として安全性がチェックされ、使用量も定められています。
ですから、適正範囲の使用であれば、前項のメリットをうまく活用できますが、次のようなデメリットも指摘されています。

糖質の働きが得られない


糖質には「エネルギー源となる」「神経伝達をサポートする」「腸内細菌のエサになる」など、健康に寄与する重要な役割があります。
ですから、甘味料以外の糖質も摂っていれば問題はありませんが、甘味料の使用によって糖質を全て避けてしまうと、エネルギー不足による倦怠感やイライラ、ふるえ、腸内環境の悪化などにつながります。

過度な甘みへの慣れ


天然甘味料も人工甘味料も砂糖の数百倍という甘みがあります。
製品としては薄められているものの、強い甘みを感じます。
カロリーゼロということで、安心してついつい多く使っていると、だんだん甘みを感知するセンサーが鈍くなり、より強い甘みを欲するようになります。
やがて、どんどん強い甘さに慣れてしまい甘味料の過剰摂取につながりかねません。
このようなデメリットは、本来、肥満や生活習慣病を予防する目的で利用するはずが、むしろそれらを助長してしまうのでは、という懸念にもなります。
人工甘味料が肥満を引き起こす、という研究結果も数多く報告されています。
どんなものでも過度は禁物、というのはカロリーゼロの甘味料にも当てはまります。
適度な使用は健康維持に役立ちますが、過剰摂取は健康を害します。
バランスのよい食生活の中には糖質も含まれますので、それが過剰にならないようコントロールする目的で取り入れるとよいでしょう。
たとえば、食事以外で甘い物が飲みたいときや肥満解消のダイエット中など、目的にあわせて適切に摂取する分には問題ありません。
上手に活用してくださいね。
【参考】
・農畜産業振興機構 調査報告『人工甘味料と糖代謝』(https://www.alic.go.jp/content/000138490.pdf)
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

関連記事

情報提供元: mocosuku

  • Twitter投稿
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気記事

この記事へのFacebookのコメント