顔の赤みや痒みの原因に。「脂漏性皮膚炎」「酒さ」、 症状が似た2つの皮膚炎
2018-02-06 18:30:22
執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
突然、顔の皮膚の一部が赤くなった!?
そんな症状に悩まされたことはありませんか?
もしかしたら、その赤みは単なる「赤ら顔」ではなく、炎症が引き起こす「顔の皮膚炎」の可能性も。
今回は、「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」と「酒さ(しゅさ)」という、症状が似ている二つの皮膚炎についてご説明します。
「脂漏性皮膚炎」と「酒さ」
顔の皮膚に赤みや痒みが生じて受診すると、「脂漏性皮膚炎」といわれたり「酒さ」といわれたり、診断が分かれて戸惑う人がいるようです。
実は、どちらかの皮膚炎の場合もありますが、両方という可能性があります。
とくに「酒さ」はしつこい慢性的な皮膚炎で、脂漏性皮膚炎と併発しているケースが見うけられるといいます。
まずは二つの皮膚炎の特徴をみていきましょう。
「脂漏性皮膚炎」とは
「脂漏性皮膚炎」は、皮脂がたくさん分泌される部位に起こりやすい皮膚炎です。
生後2~3か月頃に発症する「乳児脂漏性湿疹」もありますが、ここでは大人の症状についてご説明します。
おでこや鼻などの顔の中心部や頭にできやすく、他には耳や胸の谷間にもできます。
特徴的な症状は、皮脂が固まってできたフケのようなものが皮膚にこびりつくことです。
フケ様のものは油性で白~黄色ですが、皮膚自体は赤みをともないます。
脂漏性皮膚炎とマラセチア菌
脂漏性皮膚炎を発症している皮膚には、「マラセチア」という真菌が多いということがわかっています。
この真菌が症状を悪化させる要因の一つと考えられています。
マラセチア菌は健康な皮膚にも存在していて、脂質を栄養源として生きています。
治療にはこの真菌に対する抗真菌薬が効果的です。
また、抗真菌の成分を含んだ洗浄剤もあります。
「酒さ」とは
赤ら顔が長く続く「酒さ」は、皮膚科医でも治療が困難といわれている皮膚病です。
赤みの症状は脂漏性皮膚炎と似ていて、額や眉間、また、頬やあごなどにもみられます。
特徴的な症状は、ヒリヒリとした刺激感や「ほてり」です。
また、飲酒、寒暖差、紫外線などの影響によって、赤みやヒリヒリ感は悪化します。
さらに進行すると、大人ニキビのようなぶつぶつが出来たり、鼻が固くゴツゴツしたりする症状が現れることもあります。
「酒さ」に関しては、残念ながら日本では効果的な薬が認められていないようです。
対策には日々のスキンケアや生活習慣がとても重要だといわれています。
普段のスキンケアは大丈夫?
皮膚炎の予防と治療には、清潔と保湿、紫外線防止という日々のケアが肝心です。
ところが、普段のスキンケアが間違っていて、かえって皮膚トラブルを招いているかもしれません。
たとえば、きちんと皮脂を落としていなかったり、水分よりも油分を過剰に補う保湿をしていたりしませんか?
また、髪の毛にダメージを与えないように、お湯だけで髪の毛を洗う「湯シャン」もトラブルの原因になりかねません。
自分の皮膚に合わない洗顔料や保湿剤、シャンプーなどを使用していることも考えられます。
顔の「赤み」や「かゆみ」への対処
いずれにしても、「赤み」や「かゆみ」が出るのは炎症を起こしている証拠です。
皮膚炎は、他にもアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など、さまざまな病気と個人差もあり複雑です。
また、更年期障害や肝臓の病気などが原因である可能性も考えられます。
初期段階では、ステロイドの軟膏を塗るなど、自己流に対処しようとする方が多いかもしれません。
しかし、注意してください!
自己流の繰り返しが、接触性皮膚炎や酒さ様皮膚炎(酒さとは別の皮膚炎)の原因になるケースもあるといいます。
ですから、顔に原因不明の「赤み」や「かゆみ」の症状が現れたときは、まずは皮膚科の受診をおすすめします。
<執筆者プロフィール>
座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師。大手病院産婦人科勤務を経て、株式会社とらうべ社員。育児相談や妊婦・産婦指導に精通
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku