野菜高騰をきっかけに…「乾物」を取り入れてみませんか?
2018-04-03 18:30:24
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
天候不順から、この冬はとくに白菜・キャベツ・レタスといった葉物野菜の値段が高騰しました。
どれも使い勝手のよい野菜ですから、頭を悩ませた方は多いのではないでしょうか。
この高値、春野菜が出回る頃には落ち着く…と見込まれているようです。
しかし、今後またいつ同じ状況になるかもしれません。
そこで今回は、野菜不足を補うために乾物の活用をご提案します。
おもな乾物(かんぶつ)の種類
「乾物」とは、天日や電熱などで食品の水分を除去し乾燥加工して、長期保存を可能にした食品です。
食べるときは、通常水やお湯に浸して「戻す」という下処理をします。
乾物にはおもに次のような種類があります。
海藻系
海苔や青のり、昆布やわかめ、ヒジキ、寒天などが主役級です。
野菜・キノコ系
切り干し大根やかんぴょう、干し芋、にんにくチップ、ゴマ、唐辛子、ドライトマト、豆、メンマなどの野菜系。
干しシイタケ、キクラゲ、干しシメジなどのキノコ系。
果物系(ドライフルーツ)
アンズ、イチジク、クランベリー、クルミ、バナナ、プルーン、干し柿、レーズン、落花生など多彩に揃っています。
水産系
ふかひれ、干しアワビ、干しナマコ、干し貝柱、干しエビ、鰹節、煮干し、ちりめんじゃこ、スルメなど、こちらも豊富なラインアップです。
その他
乾麺、ビーフン、お茶、高野豆腐、ジャーキー、乾パン、お麩(ふ)、ふりかけ、春雨、ビーフンなど
なんとなく古いイメージのある「乾物」ですが、こうして挙げてみると、実にバラエティに富んだ食材であることに気づかされませんか。
乾物の情報発信と普及を進めている「一般社団法人DRYandPEACE」(※)によると、乾物について次のようなメリットが挙げられています。
深くておいしい:和食だけでなくさまざまな料理に使える(応用性が高い)
常温保存ができる:冷蔵庫がなくても長期保存ができる
乾燥して軽い:軽いので買い物も輸送も楽
無駄なし、ゴミなし:皮をむいたり切ったりする下処理は施してあるため台所でゴミが出ない
地域を活性化させるかも!:捨てられた食材を乾燥によって活かすことが可能。新しい価値が創造される
※一般社団法人DRYandPEACE (https://www.dryandpeace.com/)
乾物のお買い得感について
たとえば、切り干し大根は100gあたり100円台から入手可能です。
これに対して生の大根をスーパーで買うと、1本200円以上はかかるのがこの時期の相場です。
切り干し大根100gをつくるためには生の大根が1kg必要…比べてみていかがでしょうか?
ちなみに切り干し大根は水で戻すと約4倍になります。
また、乾燥ひじきは水で戻すと約8倍、煮物などに使う場合、一人分約3g(大さじ1杯程度)で約24gになります。
乾燥わかめはなんと12倍に戻ります。
わかめ約1g(小さじ1杯程度)で味噌汁約2人前です。
よく使う乾物は、一人前を把握しておくとさらに使い勝手がよくなりますね。
自家製干し野菜
乾物はなにもお店で売っているものに限られません。
自家製の「干し野菜」も美容や健康面から注目されています。
「セミドライ」と「フルドライ」があります。
フルドライ(長期保存用干し野菜)
数日から1週間程度天日干しにした野菜です。
おもに長期保存を目的とし、野菜の水分をしっかり飛ばして、腐りにくくカビがつきにくい状態にします。
長期間紫外線に当てるので、含まれる成分が変わる野菜もあります。
調理の際は水につけて戻したり、茹でたりして使用します。
セミドライ(調理用干し野菜)
天日で数時間から半日ほど干した野菜です。
いわゆる「生乾き」の状態で保存には向きません。早めに調理して消費します。
セミドライは、水分が適度に抜けてうま味や糖分がアップして、おいしく食べられるというメリットがあります。
また、戻す必要がなく利便性も高いです。
空気が乾燥していて寒い秋~冬、天気がよくて風通しのよい春から初夏にかけては、干し野菜づくりに適した季節です。
乾物の栄養価
乾物は「保存性」も大きなメリットですが、栄養面でも優れています。
天日乾燥によって殺菌・消毒効果が高まること、香りやうま味が増すこと、ミネラルや食物繊維などが濃縮され栄養価が高くなるなどの嬉しいメリットが挙げられます。
たとえば、切り干し大根は、生の大根500gが干し大根50gとなり栄養が凝縮されます。カルシウムやビタミンB1・B2、鉄分、食物繊維が豊富です。
また、干しシイタケでみると、生のシイタケにはビタミンDのもととなる「エルゴスチン」が入っていますが、干しシイタケは日光や紫外線の作用でビタミンDとして摂取できます。
含有量は生のシイタケの10倍です。
ただし、これは日光で干した天日ものに限られます。
熱乾燥の場合調理の前に1時間ほど天日干しをする、などの工夫も必要になります。
乾物の戻し方
「乾物は使ってみたいけれど、どうやって戻すのかわからない…」という声があるかもしれません。
二つほど例としてご紹介しましょう。
かんぴょう
・水で洗い塩少々をまぶし、しんなりするまでもみ洗いをする
・鍋に入れてかぶるくらいの水を加え、沸騰させて15分くらい茹でる
・ザルにとって水気を軽くしぼって調理に使う
戻す前に食べやすい大きさに切っておくと便利です。
茹でたあとのかんぴょうは熱いので気をつけてください。
ひじき
・たっぷりの水に20~30分くらいつけておく
・ひじきが戻ったらザルにあけ、水気をよく切って好みの長さに切る
・調理に使う
一度扱ってしまえば意外と簡単です。
まずはあなたのお好きな乾物から、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
関連記事
情報提供元: mocosuku