巨匠の実話という皮をかぶった濃厚な愛憎劇『グッバイ、ゴダール』7月13日劇場公開
2018-07-05 20:00:04
カリスマ映画監督とそのミューズ
映画界の巨匠であるジャン=リュック・ゴダールと元カノのアンヌ・ヴィアゼムスキーを描いた実話ベース映画『グッバイ、ゴダール』が7月13日に公開。
本作は稀代の天才映画監督であるフランスのジャン=リュック・ゴダールの2人目の妻:アンヌ・ヴィアゼムスキーによる自伝が原作。故に、本作はゴダールとヴィアゼムスキーの史実を元にした映画なんです。でも、カリスマ天才監督と駆け出しの女優のラブ・ストーリーでもあります。
そして、ビジュアルのパッとしない映画監督がモテる理由も解る映画です。
巨匠の恋愛のぞき見
最初はカリスマ監督に全てを任せる20歳の主人公は、あどけなさの残る女優。全てをコントロールしたい監督。物語が進むにつれ、ヒロインは監督の様々な部分を見て、大人の女性に成長していくんです。ヒロインが大人になればなるだけ、2人の距離が離れていく切なさ!! 観ていて胸がキュッとなります!
美人すぎない?
何と言っても、ヒロインを演じるステイシー・マーティンの美しさ、可愛さ! 前半の笑顔を絶やさないキュートさから、後半のクールな表情。本作のミシェル・アザナヴィシウス監督も「彼女の顔には悲劇的な美しさがあり、ガルボのようなサイレント女優的な趣きもある」と語ってのキャスティング。ミシェル、(*^ー゚)b グッジョブ!!
モデル出身のスラッと体形で1960年代のお洒落な人しか着れないファッションを着こなしていきます。と言うか、この時代のフレンチカルチャーでパンパンです。セットもカラフルなパステルカラー。壁の落書きでさえシャレオツ!
実はコメディ?!
そして、本作はコメディでもあります。当時、ゴダールはどんどん政治闘争へ身を投じていき、とうとう物語の前半で「商業映画との決別宣言」をします。そんな熱意が空回りなゴダールをユーモラスに演出。ただ、フランス人のコメディなんで、とにかくシュール。シュールなシュチュエーションがおかしい系の笑いなんで、日本人には笑いにくいかも。恐らく、日本ではコメディという宣伝もしないと思います。
ただ、このユーモアがハマったら、かなり笑えます。後半の狭い車の中での1カットによる口論シーンなんか爆笑です!!
映画好きにはたまらない?!
もっと言うと、ゴダールのバックボーンを知ってないと笑えないシーンも多いです。ただ、映画好きな方なら、白黒サイレント映画へのオマージュをスパークさせた『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督が、本作でゴダール愛を映像で語り倒している事が解って頂けると思います!
カットの割り方、アングルの切り取り方、照明まで当時のゴダールオマージュになってます。全カットがツボでした!
また、政治闘争から学生運動への参加、カンヌ国際映画祭を中止に追い込んだ事件などの映画史の一角も描かれ、ベルトルッチやトリュフォーなど著名な監督たちも登場。ゴダール役のルイ・ガレルのソックリ度など、見所は尽きません。
それにつけても、ウディ・アレンを始め、何でパッとしないビジュアルの映画監督たちがモテるのか……という長年の謎。その謎も本作で解明されます。要は才能ある男はモテるという結論でした!!!!! グッバイ、ゴダール!!!!
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Fujisan.co.jpより
情報提供元: マガジンサミット