超人たちが34年ぶりに東京へ!今年9月に開幕する「東京2025世界陸上」を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介する。
ジャマイカが生んだスピードスターは“人類最速の男”ウサイン・ボルトだけではなかった。8度の世界陸上で通算10個の金メダルを獲得している女子短距離のシェリーアン・フレイザープライス(38)は、2009年ベルリン大会で初めて100mの頂点に立って以来、10年以上に渡って短距離界のトップに君臨してきた。
出産後2年で出場した2019年ドーハ大会でも、ブランクを感じさせない驚愕の走りで金メダルを獲得。レース後は、愛息・ザイオンくんを抱き抱え笑顔を見せる“世界最速ママ”の姿があった。
レース毎に変化するこだわりのウィッグ姿も人気に
身長152cmと小柄な体格で、あっという間にトラックを駆け抜ける姿から、“ポケットロケット”の異名を持つフレイザープライス。そのスピードのみならず、レースごとに変化する鮮やかな髪色(ウィッグ)も注目された。
2019年世界陸上ドーハ大会。2017年8月7日に息子・ザイオン君を出産して母となり、更なる強さを身につけた彼女が、2大会ぶりに世界陸上の舞台に戻って来た。
予選で黄色だった髪色を虹色に変え臨んだ決勝。静かに燃える闘志を宿した表情だった。
母の力、世界を制す!息子と分かち合った勝利
新たなライバルたちの存在も無視できなかった。7レーンのD.アッシャースミス(当時23、イギリス)は前年にシーズン最高タイム10秒85をマーク。2017年のロンドン大会で、金メダルまで100分の1秒差の銀となったマリー・ジョゼ・タルー(当時30、コートジボワール)は4レーン。世界中の視線がドーハのトラックに注がれていた。
号砲と共に一斉にスタート。フレイザープライスは前半から飛び出し、中盤から後半にかけてお手本のような加速で10秒71をマーク。母になって初めてつかんだ金メダルは世界陸上通算8個目のメダルとなった。2位はアッシャースミス、3位はタルーだった。
勝利の余韻に浸るフレイザープライスの顔には満面の笑みが広がっていた。観客席にザイオン君を見つけると一瞬で優しい母の表情に。小さな指で「ナンバーワン」をつくる息子を抱きかかえウイニングランをし、喜びを分かち合った。
「簡単なことじゃなかった」
レース後のインタビューで、母親になって初めての金メダル獲得について聞かれたフレイザープライスは、感慨深げに語った。
「とても簡単なことじゃなかったです。ここに来るまでたくさん努力し、多くの犠牲も払い、自分に何をしてるんだと問いかける時もありました。でも私は今ここにいて世界チャンピオンになりました。とても嬉しいです。たくさん努力したし、神様にも感謝しないといけません。また支えてくれた友人や家族にも感謝したいです」
昨季限りで引退することを示唆していたフレイザープライスは、パリオリンピック™ の準決勝を棄権。その後はレースに出場していなかったが、今月19日にジャマイカで行われた大会で、追い風参考ながら10秒94(+3.1)をマークした。東京での世界陸上に出場するとなれば自身9度目。“世界最速ママ”が国立競技場を駆け抜けることになるのか、注目される。
フレイザープライスが世界陸上で獲得したメダルは通算16個
◆金メダル
2009年 100m、4×100m
2013年 100m、200m、4×100m
2015年 100m、4×100m
2019年 100m、4×100m
2022年 100m
◆銀メダル
2007年 4×100m
2011年 4×100m
2022m 200m、4×100m
2023年 4×100m
◆銅メダル
2023年 100m
東京2025世界陸上 女子100m「この選手に注目!」
◆S-A.フレイザープライス(38、ジャマイカ)10秒60
08年・12年五輪100m金など五輪通算8個のメダル
世界陸上は上記
◆シャカリ・リチャードソン(25、アメリカ)10秒65
23年世界陸上・金 ※ワイルドカード
◆シェリカ・ジャクソン(30、ジャマイカ)10秒65
22、23年世界陸上・銀
◆ジュリアン・アルフレッド(24、セントルシア)10秒72
24年パリ五輪100m金、200m銀
※名前の後ろは自己ベスト
※東京2025世界陸上への出場は未確定
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