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なぜ今家電に参入? スキンケア企業が既存の家電に抱いた渇望とは「ドライヤー開発は意外ではなく必然」

国内
2025-10-31 09:10
なぜ今家電に参入? スキンケア企業が既存の家電に抱いた渇望とは「ドライヤー開発は意外ではなく必然」
BCLカンパニーエグゼクティブプレジデント・大村和重氏
 『サボリーノ』『乾燥さん』などのプチプラコスメを展開するBCLカンパニーが、これまで培ってきた“タイパ”や“潤い”の知見を活かし、今夏、同社初の美容家電『MASTER MOIST(マスターモイスト)』を発売した。化粧品ジャンルで順調に売り上げを伸ばす中、なぜ今、美容家電という新たなカテゴリー開拓に挑んだのか。競争の激しいヘアドライヤー市場でどのような価値を打ち出すのか、背景にある思いや狙いを同社カンパニーエグゼクティブプレジデントの大村和重氏に聞いた。

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■「メイドインジャパンの強みを美容全般に活かす」全社員から新規事業を募集

――初の美容家電ジャンル参入となった高保水ドライヤー『MASTER MOIST』が8月5日発売となりました。『サボリーノ』や『乾燥さん』がヒットし、『乾燥さん』においては昨年度は前年比3倍の売上を記録するなど好調な中、なぜ新規事業に参入されたのでしょうか?

【大村和重氏】手をかければ、『サボリーノ』も『乾燥さん』もまだまだ伸びるブランドです。ただ、その波に乗ることだけを考えていたのでは、会社としては成長できません。弊社では、『サボリーノ』をはじめ、海外展開にも積極的に注力してきましたが、正直、化粧品だけでは世界市場でなかなか売り上げを伸ばすことができませんでした。一方で、弊社で扱っている『in cosme(インコスメ)』や『オヤスミタンパク』といったサプリメントは、韓国のヘルス&ビューティーストアから扱いたいという依頼があるなど、食に関してはメイドインジャパンの需要が高いことを再認識しました。その思いがきっかけとなり、化粧品を軸に周辺の商品の厚みを増して、グローバル企業としてビューティー全般を総合的に強化したいと考えました。

――食同様に、美容家電においてもメイドインジャパンの需要は高いと考えられたのですね?

【大村和重氏】出張などで海外の方々と話すたびに、メイドインジャパンの機能性や信頼性が、高く評価されていることを実感しました。日本の大型家電は、韓国や台湾、中国などの新興国メーカーの台頭や価格競争によって少し厳しい状態となっていますが、美容家電はまだまだ世界を牽引する存在になれると勝算を感じています。

――その美容家電の第1号となる『MASTER MOIST』は、全社員を対象に実施した新規事業募集がきっかけでアイデアだったそうですね。

【大村和重氏】私が2021年に社長に就任したのち、失敗を恐れずにチャレンジする企業風土を築きたいという思いもあり、会社の未来を自分ごととして捉えてもらえるよう、全社員を対象に新規事業募集を行いました。新規事業募集に寄せられたアイデアをもとに、様々な試行錯誤を重ねたうえで生まれたのが『MASTER MOIST』です。約1年の準備期間を経て商品化に至りました。

――採択から発売まで1年というのは非常に早いですね。

【大村和重氏】そうですね。新規事業はノウハウもルートもない中で、ゼロからの立ち上げとなるので、苦労しました。しかし、一方で、新規事業を成功に繋げるためには、スピードが重要な要素となります。特に美容業界のトレンドの移り変わりは早いので、とにかくまず商品化することを優先させ、どこで売るか、どう売るかということは並行して考えるよう取り組みました。先に申し上げたとおり、弊社がグローバル企業として海外比率を伸ばすためには、今、お客様に抱いていただいているコスメメーカーというイメージを良い意味で払拭して、健康需要に応えるビューティー全般における総合メーカーになる必要があります。その危機感を全社員が共有できていたことも、スピード感を持って実現に至れた大きな要因だったと思います。

■高価格帯ドライヤーで市民権を得るには?「コスメで培った“タイパ”と“潤い”が軸になる」

 近年の物価上昇に伴い、国内の家電市場は売上が低迷している一方で、美容家電市場は右肩上がりで伸長し、2022年の420億円から昨年度は830億円と2倍もの売り上げを記録。33年には年平均成長率6.8%、1600億ほどの市場規模と予想されている。中でも好調なのが、“進化系ドライヤー”と呼ばれる高価格帯ドライヤー。2022年以降、軽量ながら大風量かつヘアケア機能も搭載した高機能・高価格帯製品が続々と登場し、消費者のヘアドライヤーに対する認識も単に“髪を乾かすためのアイテム”から“髪をケアするためのアイテム”へと変化。店頭には、様々なメーカーの高機能ドライヤーが並び、群雄割拠の様相を呈している。

――ひと昔前までは、「まるで美容院のようなクオリティ」というドライヤーのキャッチコピーはただの比喩としてしか捉えられていませんでした。しかし、今や機能の進化によって、一般ユーザーはドライヤーにプロユースを求める時代になっています。その意識の変化は男性ユーザーにも浸透しつつあると感じるのですが、いかがですか?

【大村和重氏】正直、弊社では、ドライヤーのユーザーについては性別で区別していません。今は若い男性の美容に対する意識は非常に高く、美顔器を使っている男性も多いですからね。ドライヤーに関しては、若い男性だけでなく、年齢の高い男性からの需要も増えていると実感しています。

――たしかに、ドライヤー購入者の30~50代の3割は男性というデータがあります。その一方で、男性の4人に1人は「面倒くさい」という理由でドライヤーを使わないというデータもありますよね。

【大村和重氏】昨今、“風呂キャンセル界隈”という言葉がよく使われていますが、男性に限らず、ドライヤーをかけるのが面倒くさいという人は多いと思います。しかし、その点において、『MASTER MOIST』は、弊社の商品開発で培った強みの“タイパ”を大きく活かしています。具体的には、髪温度・風量・乾かす時間を自動で最適に制御する5つの独自開発オートプログラムを搭載し、ボタン1つで髪の状態や好みに合わせて、髪を速く乾かしながらも、潤いとツヤをしっかり守れる。髪を乾かす時間が“負担”ではなく“心地よい”ものとなる設計になっていると自負しています。

――数あるドライヤーの中で“タイパ”と“潤い”の2つを兼ね備えられたのでは、BCLカンパニーならではの特性ではないでしょうか?

【大村和重氏】“タイパ”と“潤い”は、弊社が『サボリーノ』や『乾燥さん』など、スキンケア商品の開発で軸としてきた要素ですからね。それを活かしたという点から考えれば、弊社がドライヤーの開発に挑戦するのは、意外ではなく、必然だったと思います。

■“新たな取り組み”にも意欲「美容と健康に総合的な形で寄与できるような展開を広げていきたい」

――『サボリーノ』や『乾燥さん』もそうであるように、今回の『MASTER MOIST』にもBCLカンパニーという会社名を冠せず、ブランド名のみで勝負しています。何か理由があるのでしょうか?

【大村和重氏】弊社では、百貨店に入っているブランドからプチプラコスメ、サプリメントまで幅広い商品を扱っています。そのなかで『MASTER MOIST』についても、広くブランド名を認知させることができればと考えました。まだ発売してから日が浅い商品ですが、使っていただければその実力を実感していただけると思いますし、そうやって信頼を勝ち得ることで、このブランドから出た商品なら安心だと皆さまに思っていただける、そういう土壌を作っていけたらと考えています。

――同社初の美容家電の『MASTER MOIST』をきっかけに、今後はどのような商品を開発し、拡大させていく予定ですか?

【大村和重氏】例えば『サボリーノ』における美容領域以外での展開や、『乾燥さん』のキャラクターである「乾燥守子」のキャラクター育成など、挑戦したいことは盛りだくさんです。皆さまの美容と健康に総合的な形で寄与できるような展開を広げ、皆さまを笑顔にできるブランドを育てていきたいと思っています。

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