アメリカのトランプ大統領が政権発足100日に合わせて集会を開きました。支持者を前にこれまでの成果を自画自賛しましたが、一方で懐疑的な調査結果も相次いでいます。
政権発足から100日 トランプ大統領支持に陰り?
井上貴博キャスター:
トランプ大統領は節目の演説で「歴代政権の中で最も成功をもたらした」と自画自賛しました。
就任からの支持率を見ていきます。1月以降のものですが、支持と不支持が3月あたりで逆転し、今は不支持率が52.5%、支持率が45.1%です。この支持率は低いとも取れますし、これだけの政策を打ってもこの支持率を保っているのは岩盤支持層が強いと言えるかもしれません。
トランプ大統領は、この100日間を今どのように受け止めているのでしょうか。
JNNワシントン支局長 樫元照幸:
政権発足以来、自分のやりたかった政策をどんどん推し進めて、かなりのスタートダッシュを見せましたが、ここにきてなかなか上手くいかない状況です。
例えば、外交面ではウクライナ和平を就任100日の大きな目玉にしたいという思惑もあったのですが、これが上手くいかない。最近は苛立ちだけでなく、ため息をつくシーンも見せています。
そして世界が注目する関税ですが、これは海外だけではなく国内でも非常に評判が悪いです。私の周りでも、ビジネス関係者から実際に製品の輸入を止めているという話もよく聞きます。
この後、アメリカではGDPが発表されますが、今後、経済指標に厳しい数字が出てくる可能性もあります。
トランプ大統領は「今はちょっとした移行期間で、これを抜けるとアメリカの経済は史上最高になる」と主張していますが、自分の思い描く理想にどこまでこだわって、強引に進めていくのか。それとも、ある程度妥協し、軌道修正をして、現実的なところに落ち着いていくのか。この先の100日が注目となります。
関税交渉でかなりの焦り?
井上キャスター:
数字で見ても関税は評価しないという声が多かったわけですが、樫本さんは以前「トランプ大統領自身、少し焦り始めているんじゃないか」という話をしていましたが、現時点ではどんなことを感じていますか。
樫元照幸 支局長:
特に関税をめぐっては、「90日間で色々な国と交渉する」「実際に90か国以上が既に問い合わせをしてきている」というようなことを言っていますが、90日間で90か国を相手にするというのはなかなか厳しいですし、不可能です。そういったところでかなり焦りを見せています。
赤沢大臣が今ワシントンに向かっていますが、実は、この会談の日程はまだしっかりと決まっておらず、決まったとしても1時間ほどに限られるのではないかという見方も出ています。
人が限られる中で、アメリカ政府としては、「とにかく色々な交渉を進めて、早く成果を出したい」という思惑がありますが、実際には人も時間も限られる中で、トランプ大統領が満足する成果を出すことができるのか。実務をやる人たちもやきもきしていますし、トランプ大統領自身も焦りを見せていると思います。
井上キャスター:
時間のない中で、トランプ大統領としては「工場をアメリカに移せ」ということですよね。
企業側から考えると、例えば、世界中の企業がこれまでは中国にリスクがある「チャイナプラスワン」というようなことを言われていましたが、今度はアメリカにリスクがこれだけ出てくると「アメリカプラスワン」というような新たなリスクも考えなければいけないということでしょうか?
プロ経営者 ハロルド・ジョージ・メイさん:
ビジネスというのはリスクとの向き合い方、毎日リスクをどういうふうに見るかというのがビジネスなわけです。そのためにはできるだけ先を読みたいんですよね。
トランプ大統領が就任してから100日という話ですが、私から見れば「まだ100日なんだ」と思いました。これだけ世界を変えてしまった人は、朝令暮改も多いわけです。「決めることはこうなんだ」と言ってくれれば、それなりの対処はできますが、すぐ変えるとなると、ビジネスとしても計画のしようがないんです。先が読めない、だから不安になる。
アメリカに工場を作るかどうかと言われても、また4年後にはどうなっているかわからないし、また朝令暮改されても困るといったことで、やはりみんな様子見なんです。
井上キャスター:
トランプ大統領が考えることはわかりませんが、中間選挙あたりまでは突っ走るような形になりそうですか。
樫元照幸 支局長:
中間選挙が2026年の秋に決まっています。そこに向けて経済力を上げていかなければならない訳ですが、経済の専門家によると、2025年の後半には上げ始めなければいけないということです。
トランプ大統領は2025年の後半に大型減税を視野に入れているので、この辺りまで自分の思い描くように物事がスムーズに進むのかどうか。
この100日は思い描いた通りには進んでいないので、この先の100日、そして2025年の後半にどうなっていくのか。そのあたりが注目になってくると思います。
井上キャスター:
メイさんは、焦りがあるという面はどうご覧になっていますか。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
焦りがあるのでしょうか。我々が勝手にそう見ているだけではないでしょうか。
というのも、彼が決断したことがほぼ毎日トップニュースになっています。「自分はこれだけのことをやっているんだ」と今回も自分の支持者に訴えているわけです。
それに成果が出なくても、トランプ大統領のことですから「俺が悪いんじゃなくて相手が悪いんだ」と必ず第三者のせいにしてしまう癖があります。なので、本人は「これだけのことやってるんだ」と本当に思っているのではないでしょうか。
井上キャスター:
確かにトランプ大統領は、ネガティブな報道であっても自分が報道に出るだけでプラスになるんだとずっと話してる人ですね。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
中間選挙となるとまた話が別で、もしそこで負けてしまったら、少しややこしいことになるとは思います。
だからこそ今、一生懸命支持者を集めて「俺はこれだけやっているんだ」「もう大丈夫だ」といったことを言っているんですよね。
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〈プロフィール〉
樫元照幸
JNNワシントン支局長
ポッドキャスト番組「週刊ワシントン」配信中
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者
1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など
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