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「味を引き継ぎたい」倒産相次ぐ…飲食店の後継者不足、マッチングサイトで事業承継も【Nスタ解説】

経済
2025-02-13 20:48

年々増えている、後継者不足による倒産。お店の味を守るにはどうするべきか?この問題に直面する飲食店を取材しました。


【写真を見る】常連も絶賛 横浜市にある三幸苑の「ちゃーめん」


惚れた先代の味を守れ!常連も絶賛「ちゃーめん」

中華料理といえば、「パラパラのチャーハン」に、「焼きぎょうざ」は絶品です。


ここは横浜市にある「三幸苑」。いわゆる、町中華のお店です。お昼時には多くのお客さんで賑わっています。


13年前に取材したときにお店を切り盛りしていたのは小川宏さん(当時82歳)でしたが、現在、店長を務めているのが中国出身のリンさん。7年前に先代の小川さんからお店を引き継ぎました。


三幸苑 リン・トクラン 店長
「私は社長の料理を食べたあとに、その味を忘れられなかった。その味をなくさないようにお客様に提供したい」


当時、高齢ということもあり体の調子が悪く、引退を考えていた先代の小川さんから「お店を継がないか?」と言われ、それを承諾。


ここから先代の味を守るため、マンツーマンで特訓が始まりますが…


三幸苑 リン・トクラン 店長
「すごく厳しかったです。ダメ!ダメ!と言われて」


特に難しかったというのが、看板メニューの「ちゃーめん」。初めは調味料の配分や火加減、麺の硬さなどを調整するのが難しかったそう。


それでも、先代から「合格」をもらったといいます。


料理の味について、先代の頃から通っているお客さんは…


先代の頃からの常連客
「変わらないよ、いつもの。おいしいよ」
「やっぱりなくなっちゃったお店もあるので、どんな形であれ復活するのはやっぱり嬉しい」


「体が動かなくなる前に引き継ぎたい」が後継者が見つからない…

後継者問題を乗り切ったお店がある一方、なかなか進まないお店もあるんです。


東京・目黒区に店を構えて13年、居酒屋「博多日和」。名物は「もつ鍋」や「馬刺し」などの九州料理です。


中でも自慢の一品というのが、「若鶏の素揚げ」。


博多日和 大塚智寛 店主(63)
「この油が真似できないと同じ素揚げでも同じ味にはならないです。ここだけの味になっていますので、継がなかったら僕の代で終わりです」


店主の大塚さんは現在63歳。二十歳から料理人をはじめ、様々な飲食店の経営を経て、今の店を開きました。


しかし、年中無休で働き続け、2024年、体に異変を感じたと言います。


博多日和 大塚智寛 店主
「(気胸で)胸を壊したり、手が上がらなくなったり、最近すごく感じるようになって。こうやって年をとっていくんだな」


「43年の料理人人生で培ったメニューを体が動かなくなる前に引き継ぎたい」。こうした想いが日々沸き上がってきた大塚さん。


一番大事にしているのは、「お客さんとのコミュニケーション」です。


博多日和 大塚智寛 店主
「美味しいだけではだめなんですよ。(店を)好かれているお客さんが(いる中で)僕の代で終わらせるのはもったいない。(客に)優しい人になってねということは継承していきたい」


深刻な問題となる後継者不足。あるサービスが注目されています。


“後継者不足”による倒産増加の中、マッチングサイトで事業承継

熊崎風斗キャスター:
様々な業界で後継者の不足による倒産が増加しています。2013年は234件でしたが、2024年は463件と調査開始以降、過去最多の件数となりました。


そうした中、あるサービスが登場しました。事業承継マッチングサービス「relay(リレイ)」です。事業を“譲りたい人”と“継ぎたい人”の両者の間に立ち、マッチングをサポートし、様々な交渉も行うサービスです。


両者にとってのメリットは大きいです。


【事業者側のメリット】
▼後継者問題が解決
▼従業員や取引先への影響が減る
▼地域や商店街の衰退を防ぐ


【後継者側のメリット】
▼初期費用を抑えられる
▼ノウハウなど、経営資源を引き継ぐことができる
▼地域の活性化につながる


マッチングには様々な方法があり、事業をどこまで承継するのか選択することが可能です。


▼全事業
▼店舗のみ
▼機材・設備のみ
▼味・技術のみ


全てを受け継ぐ印象がありますが、それぞれの意向に応じた選択が可能ということです。


この事業承継マッチングサイト「relay」は、2020年から110件のマッチングに成功している実績があります。


井上貴博キャスター:  
特に小規模事業者を救っていかなければ、地域経済が衰退してしまう。ひいては地域全体が衰退してしまいます。


こういった民間のサービスや、省庁や自治体が独自で行う、後継者問題を解決するためのマッチングイベントなども最近増えていますので、そういったところで橋渡しをしていく必要性がありますよね。


ホラン千秋キャスター:
その地域の文化になっているお店もあり、そのお店がなくなると「心にぽっかり穴が開いてしまった」と感じる地元の方々もいると思います。


事業を譲りたい側と継ぎたい側が出会えたら、その地域の皆さんも含めてみんな幸せになりそうな気がします。


熊崎キャスター:
事業承継で、地方に移住するという方も多くいます。


長野県・松本市奈川の温泉宿「山荘わたり」では、温泉宿の運営者がマッチングサイトで後継者を募集していて、2024年6月、神奈川県在住の男性が事業を承継しました。


承継した男性は「地方移住をしたい」と考えていましたが、「そこでの働き口は何があるんだ」という中でマッチングサービスを利用し、今は後継者として温泉宿を経営しているということでした。


井上キャスター:
地方都市はかなり厳しい状況になっていて、医師不足や介護士不足などといった問題もあるので、様々な分野でこのようなマッチングの機会があると、次に繋がりやすいのかなと思います。


ホランキャスター:
「地方移住したいが、どのように働けるのかわからない」といった不安を解消してくれる場所にもなりますね。


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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