コンビニチェーン・ミニストップの消費期限偽装は、対象が25店舗に拡大。店内で作る「おにぎり」「お弁当」に加え、「惣菜」でも不正が行われていました。消費者からは厳しい声が上がっています。
ミニストップの消費期限偽装 手口は?
井上貴博キャスター:
ミニストップの消費期限の偽装について。そもそも、なぜ不正が発覚したのでしょうか。
発端となったのは、2025年6月24日の第三者機関による抜き打ち定期検査(年2回)です。これにより、消費期限ラベルの“二重貼り”が発覚しました。
そして8月18日、全1786店舗を調査したところ、23店舗で店内調理の「おにぎり」や「弁当」の消費期限を偽装していたことが発表されました。
9月1日には、店内調理の唐揚げなど「お惣菜」も偽装が発覚。新たに2店舗が不正をしていました。
結果、東京・大阪・福岡など7都府県25店舗が偽装していたということです。
【消費期限偽装の手口】
▼消費期限のラベルを遅らせて貼る
→店内で調理した後、1~2時間放置し、放置後の時間に合わせた消費期限のラベルを貼っていた。最長で14時間遅らせた事例もあったそうです。
▼消費期限ラベルの貼り替え
→陳列した商品を一度引き上げ、裏で新たなラベルに貼り替えていた。
▼ラベルを重ねて貼る
こういった手口であったことがわかっています。
消費期限の偽装はなぜ行われた?
井上キャスター:
なぜ偽装が行われたのでしょうか。
▼廃棄ロスを減らし、経費を削減するため。そして、▼夜中など従業員の手が空いた時間に製造し、“作り置き”が常態化していた可能性があるということです。
不正を行っていた25店舗は全てフランチャイズ店で、本部からの偽装指示は今のところ確認されていないそうです。
今回不正をした兵庫・川西市の店舗オーナーは取材に対し、「もったいないのでやってしまった」と話していました。オーナー自らラベルを貼り、消費期限を3~4時間偽装していたということです。
タレント・子育てインフルエンサー 木下ゆーきさん:
これだけ多くの店舗で起きているので、「もったいない」というオーナー1人の気持ちだけが本当に原因なのかなと思いました。
「本部から指示はなかった」とはなっていますが、本部との取り決めの中で、このような事象が起きてしまった、という流れはないのか少し疑問に感じてしまいます。
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
本部からの指示というのは、多分ほぼないかなと思います。
フランチャイズ店での廃棄コストは基本的にはオーナーが持つことになっています。なので、廃棄というのはオーナーの利益を削ります。
ただし、ミニストップの場合は他のコンビニチェーンと違い、本部とオーナーが廃棄の負担を応分します。なので、すごく優しい契約になっています。
また、「スーパーバイザー」という店舗巡回員がいるので、そのあたりをコントロールして指導する必要が本来あります。しかし、今回は残念ながらされていなかった可能性があると思います。
出水麻衣キャスター:
「夜中など手が空いた時間に製造していた」とありますが、オペレーションをマニュアル化して、従業員が無理のないように作るということはできなかったのでしょうか?
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
コンビニというのは、ご存知の通り2人くらいしか働いていません。3~4人働いていればできますが、そこは非常に難しいところがあります。
「手作りする」ということは、作業も増え、人件費もかかるので、オーナーが利益を得づらくなります。そうすると、廃棄というところでこのような不正が起こってしまう可能性があるのかもしれません。
井上キャスター:
コンビニ業界で「商品棚にある程度、あふれるほど商品を載せておかないと良くない」とよく言われます。だからこそ、「廃棄をやめよう」ということよりも、「廃棄しても仕方ないから、とにかく商品を置いておく」。そういった業界の慣例に元凶はないのでしょうか。
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
4~5年前まではその考え方がありました。しかし、食品ロスの問題や食料自給率が低い問題などを含めて、そういう形はだいぶなくなってきています。
ミニストップが考える3つの再発防止策
井上キャスター:
ミニストップとして、どのような再発防止策を打っているのでしょうか。
【ミニストップ 再発防止策】
▼厨房にカメラ設置
→調理などを“見える化”
▼内部通報体制を強化
→従業員らが気軽に相談可能に
▼新型ラベル発行機の導入
→製造計画に合わせた時間でのみ発行
など
渡辺さんが考える再発防止策や、ある程度有効になる策はどのようなものがありますか。
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
「仕組み」と「マニュアル」を作るのが最低限です。あとは、アルバイト含め店長・オーナーで「こういうことをしてはいけない」という意識をしっかり持つことが大事です。
また、例えば、セルフレジを使うことにより作業する時間を作る。そうすると、作り置きをしなくてもいつの時間でも作ることができます。人手不足なので、これからはセルフレジの活用が一番大事になってくると思います。
もう一つ、「賞味期限」という美味しく食べれる期間と、「消費期限」という安全に食べる期間があるので、「賞味期限」が切れたら安く売る、「消費期限」は食品ロスを考え、少し緩やかにしていく。このような方法があれば、今回のような問題が起こらなかったのではないかと思います。
出水キャスター:
セルフレジの導入コストはオーナーではなく本部が負担するのでしょうか?
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
機器などは、オーナーではなく本部機関が負担します。
井上キャスター:
「消費期限」に関しては、コンビニ業界だけではなく、日本全体としてもう少し考えたほうがいいですか?
消費経済アナリスト 渡辺広明さん:
もう少し緩和したほうがいいんじゃないかなと思います。
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<プロフィール>
渡辺広明さん
消費経済アナリスト
大手コンビニ店長やバイヤーなど22年勤務
木下ゆーきさん
タレント・子育てインフルエンサー
3児の父
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