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日本は貧しい国になったのか?「エンゲル係数」に注目、「物価高でも貯蓄は増えた」考慮して計算すると…【Nスタ解説】

経済
2025-09-04 21:27

食品などの値上げが続いています。スタジオでは、本当に日本が貧しい国になったのか?「エンゲル係数」に注目して考えてみました。


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日本人は貧しくなったのか?エンゲル係数をとことん調査

井上貴博キャスター:
そもそも、エンゲル係数とはなんなのでしょうか。


世帯の収入から、消費支出、社会保険料などの税金、貯蓄・投資など、様々な支出がありますが、そのうちの消費支出を分母にとって、分子を食料費とします。つまり、消費支出に占める食費の割合がどのくらいかを示すのが、エンゲル係数です。

ドイツの学者・エンゲルさんが発表したので、エンゲル係数と言われ、これが発表されたのは1800年代で、結構前に出てきた指標です。

エンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が高ければ高いほど、食費を賄うのでいっぱいいっぱいで、貧しくなっているのではないかという指標になっています。日本はこの数字が高いということで、ニュースで取り上げられています。


日本のエンゲル係数は、戦後は大体60%ぐらいありました。入ってきたお金のほとんどを食費に充てなくてはいけませんでしたが、どんどん低くなり、最も低くなったのは2000年代の約23%でした。そこから右肩上がりになっていて、今は28.3%となりました。(※総務省「家計調査」より 2人以上の世帯)

アメリカでも20%を切りますし、エンゲル係数が上がり続けている主要国は珍しいということです。ですから、日本はこれをもって貧しくなっているのではないか、余裕がないのではないかと言われるひとつの所以です。


第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミスト新家義貴氏は「食料品の価格高騰が影響している。食料品は節約することが難しく、エンゲル係数が高くなっているのではないか」と話します。

円安で輸入されるものが高い、食料品が高いのでエンゲル係数が高くなる。一方で、入ってきたお金を将来不安だから貯蓄に回そうという方もいらっしゃると思います。となると、エンゲル係数は消費支出を分母にとっていましたが、貯蓄を考慮した方が良いのではないかという仮説をスタッフと立てました。

そこで、貯蓄額はどのくらい推移しているのか調べてみました。


エンゲル係数は実態を反映している?物価高でも貯蓄は増えた

井上キャスター:
日本の平均貯蓄額は、エンゲル係数の上昇に伴って増えています。(総務省「家計調査」より エンゲル係数:2人以上の世帯 貯蓄額:2人以上の世帯のうち勤労者世帯)

貯蓄額がある程度増えている中で、エンゲル係数が増えているとなると、本当に貧しい方向に行ってるのでしょうか。分母の消費支出に貯蓄を加えて、食料費をみたほうが実態により近いのではないかと思って計算し直してみました。


現在のエンゲル係数は28.3%ですが、貯蓄を考慮するとエンゲル係数は16.9%になりました。(※総務省「家計調査」のデータを元にNスタが作成 2人以上の世帯/2人以上の世帯のうち勤労者世帯(貯蓄を考慮))

しかし、貯蓄は平均値か中央値にもよって差が出てくるので難しいのですが。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
確かに、貯蓄はお金持ちと貯蓄のない人を合算して平均値を出すと意外と高いですが、中央値、つまり1番から100番までの人のうち、50番目の人を見ると意外と低いということがあります。

日本人の場合、特に若い人は“貯蓄ゼロの人”と“たくさん持っている人”がいるので、平均で出したからといって、あまり意味がないのではないかという議論もあり、そこは要注意だと思います。

井上キャスター:
今、ライフスタイルも多様化していて、こんな方もいるのではないかと考えました。


▼年収1億円
社会保険料など5000万円
貯蓄 4700万円

消費支出 300万円
食料費 100万円

あまりお金を使わないという方だと、年収が多くても、エンゲル係数が約30%と高くなります。

そういう方もいると考えると、これまでずっと使ってきたエンゲル係数がどこまで実態を反映しているのか、わからなくなってくるのではないでしょうか。


10年前と食料品にかける割合に変化なし 何を節約している?

井上キャスター:
あとは皆さん、どういったものを節約しているのでしょうか。2014年と2024年のデータを比べてみました。

▼2014年 食料 16.8%
▼2024年 食料 16.8%


食費は上がっているけれど、割合は変わっていません。やはり、みなさん食費を節約しているということになりますが、他の項目を見ると変化幅はマイナスになっています。

例えば、交通・通信は-3%と減っていて、固定費を見直しているということかもしれません。「その他の消費支出」の項目は-4.8%となっています。

「その他の消費支出」の中身
▼諸雑費 理美容・たばこなど
▼交際費
▼こづかい
▼仕送り

こういう所を削って削って、みんなで貧しくなっていってるようにも見えます。これは何か政策含めて、手を打っていかないといけないのかなと感じます。


星さん:
若い人たちの不安はおそらく2つあって、1つは社会保障が大丈夫かということと、もう1つは1000兆円も借金していつまで持つのだろうというところです。

ところがこの2つとも今、政治が全く無策状態で、見直しについて1ミリも動いていません。そういう点ではこの不安を解消する方向に動いていないということが、非常に問題は深刻だと思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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