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人手不足&物価高「これ以上価格を上げたら客が離れる」知恵と工夫で戦う「外食」の30年

経済
2025-10-27 21:45

働き手が減少に転じたのが30年前。人手不足、物価高にさらされた「外食産業」の戦いを取材しました。


【画像を見る】省人化に大活躍 配膳の主役のロボット


安さが魅力の地元で愛される「老舗餃子店」でも30年で…

灼熱の鉄板で一気に蒸される餃子。
カリッと焼き上げた皮には香ばしい焦げ目。中を開ければ、凝縮された豚肉と野菜の旨みがたまりません。


東京の下町、亀戸にある餃子店「亀戸餃子」。

子供も箸が止まらない、老若男女に愛されてきた味です。

メニューは潔く、餃子1本。


お客さん
「ひたすら餃子を食べ続けたい時がある。亀戸を感じる」


餃子愛を熱く語る男性は、ビールを片手にひたすら餃子を食べ続け、9皿を完食。でも、これだけ食べても2970円。


安さが大きな魅力の餃子ですが、常連客は…


常連客
「いま(2皿で)660円でしょ。いい値段になっちゃったよね。昔はもっと安かったんだよ」


時を遡ること30年。「亀戸餃子」では、変わらぬ作り方で餃子を焼いていました。1996年当時の価格は1皿250円

この価格は徐々に値上がり、2024年に330円になりました。


亀戸餃子本店 丸山貴大さん
「80円上げちゃってるだけでも、皆さん苦しいと思う。食べる方はものすごく食べてってくださるから」


皮に使う小麦は、円安などの影響を受け高騰。光熱費も大きく跳ね上がっています。


値上げに抗い続けた30年。


亀戸餃子本店 丸山貴大さん
「これ以上(値段を)上げたら、お客さん離れちゃう。薄利多売でも、皆に食べていただければ、うちのお店は継続していける」


ケンタッキー、すかいらーくが日常に 1970年は“外食産業元年” 

振り返れば、“外食産業元年”と言われた1970年

世界大阪万博への「ケンタッキーフライドチキン」の出店や、日本初の「すかいらーく1号店」を皮切りに、外食の文化が日常に広がりました。

当時の価格は、今では考えられないくらい安いです。庶民の味方、吉野家の牛丼はなんと一杯200円

1971年には「マクドナルド」が初上陸。ハンバーガーはわずか80円でした。


順調に市場規模を拡大していった「外食産業」は、1997年には29兆円とピークに達しました。当時の主役はファミレス。


記者
「ありました!確かにデニーズが2軒並んでいます」


通常店舗の隣に和食専門の店舗が並ぶ、まさに珍百景が生まれました。

各社が出店数を加速させる“ファミレス戦国時代”。


回転寿司で究極の“省人化” ロボットも大活躍

ところが、今から30年前の1995年。影が忍び寄っていました。それが「働き手の減少」です。

それまで増加していた労働人口が、この年をピークに初めて減少に転じたのです。


そこから“省人化”が大きなテーマとなりました。配膳の主役はロボットに。

どれくらい活躍しているのか。通路を通る回数を数えてみると、1時間半でロボットが5回。従業員は1回でした。

片付けや接客は従業員がロボットと役割分担しています。


慢性的な人手不足の時代をどう生き抜くのか。誕生から究極の進化を遂げた外食があります。それは「回転寿司」です。

2020年にオープンした最新の店舗「くら寿司グローバル旗艦店 浅草ROX」に行ってみると、従業員の「いらっしゃい!」はなく…


窪田ゆき 記者
「たくさんお客さんがいるのですが、店員さんはあまりいる印象はないです」


案内はされず、少し不安を感じつつも、番号の席を探し…

結局、入店してから誰とも会話することなく、席にたどり着いてしまいました。

注文したネタは、従業員を介さず高速で届きます。もはや“究極の省人化”を実現しています。


1997年の回転寿司店の厨房には、確認できただけでも職人が5人います。
レーンには寿司が隙間無く敷き詰められ、回っていました。


今の注文は、全てタッチパネルです。

今回、厨房に入る許可を特別にもらい、作業を見せてもらいました。


くら寿司 小坂博之さん
「実際にこういう風に作業するのは、もう10年以上前のことになるので…」


10数年ぶりに厨房に入った小坂さん。でも、今も現役かのような手際の良さです。

それもそのはず。作業が超~簡単なんです!

実際に時間を測ってみると…


くら寿司 小坂博之さん
「今サーモンが『2』となってますので、実際にサーモンを2皿作ります」


あらかじめ切り分けられたネタを冷蔵庫から取り出し、機械で作られたシャリに乗せるだけ。かかった時間、わずか13秒。


 作業の効率化を進めたことで、創業時40種類程度だったメニューが、最大200種類にまで増えたといいます。


くら寿司 小坂博之さん
「どうしても人件費が高騰しているし、人手不足がついてまわるので、いかに従業員が覚えやすい、教育しやすい環境を整えるか。システム化は大きな役目がある」


「物価高」や「人手不足」など外食に吹き荒れる向かい風。

次の30年をどう生き残るのか。企業の知恵と工夫が試されています。


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