物価の上昇は50か月連続で続いています。経済対策が家計を救う一手になるのか、副作用はないのでしょうか。
午後、総理官邸で開かれた臨時の閣議。ここで、高市政権で初めてとなる総合経済対策が決定しました。
高市総理
「今回の経済対策では、国民の皆様に迅速に物価高対策をお届けすることを第一としつつ、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります」
コロナ後、最大となる21兆3000億円規模となった今回の経済対策。子ども1人あたり2万円の給付や電気・ガス料金の補助、食料品支援などの物価高対策が盛り込まれました。
今回の経済対策は家計の助けになるのか?
伺ったのは上田和子さん(91)。結婚してから60年以上、家計簿をつけ続けています。
家計簿をつけて60年 上田和子さん
「例えば2021年8月、これが食費のところ、1か月の予算が3万6000円」
きょう発表された先月の消費者物価指数。上昇率は再び3%台に。50か月連続で上昇しています。
そこで、上田さんと4年2か月前の家計簿をもとに、同じ店で買った同じ商品がいくら値上がりしたのか検証してみることに。夫婦2人暮らしの上田さん。この日は1週間分の買い物をしました。果たして、値上がり幅は?
家計簿をつけて60年 上田和子さん
「パプリカ、こんな小さいので100円も上がった?」
▼“物価の優等生”のはずの卵は44円、▼牛乳は50円の上昇。
記者
「ティッシュもちょっと値上がりしていますね」
家計簿をつけて60年 上田和子さん
「150組ですから、前は200組が基本だった。背が低くなった」
さらに、調味料は軒並み値上がりし、コメは3キロで1200円も値上がりしていました。50か月前なら7000円あまりで買えたモノは、今では1万円に、4割以上の値上がりです。
さらに、光熱費を含めると1か月で1万3000円、年間15万円の負担増です。
家計簿をつけて60年 上田和子さん
「お金の値段が下がってる、円安だからね。お金の価値が下がっているから、さまつなことには使わないという意識」
こうした中、策定された新しい経済対策。その恩恵は生活スタイルによって大きく変わります。
例えば、車を持つ4人家族で試算してみます。▼18歳までの子どもには1人2万円給付されるため、合計4万円です。▼来年1~3月の電気・ガス代の補助は合計7000円程度、▼暫定税率廃止でガソリン代は、世帯で1万2000円程度安くなる見込みです。▼自治体によりますが、「おこめ券」などの食料品支援は1人あたり3000円分のため、4人家族では1万2000円分、▼水道料金やLPガスなどの家計支援は1世帯1万円。家計負担の軽減は合計12万円以上となります。
一方、上田さん夫婦は子どもが独立していて、車もないため、食料品高騰対策や光熱費など2万円程度の補助に限られるとみられます。
また、年金は物価の上昇幅ほどは上がっておらず、別の意味でも国の対策に疑問をもっています。
家計簿をつけて60年 上田和子さん
「値上がりしたからお金を出す、そのお金をどこから出すか。決まった財源しかないでしょう、すぐ国債とかになっちゃう。対症療法にはなるかもしれないが、経済対策にはならない」
積極的な経済政策に伴うリスクへの懸念から円安が進行。高市氏が自民党の総裁になってからの1か月半で10円以上円安に。ただ、高市総理は…
高市総理
「日本が今行うべきことは、積極財政により国力を強くすること」
一方、専門家は今回の対策はかえって物価高を招くと指摘します。
第一生命経済研究所 熊野英生 首席エコノミスト
「円安という火元を止めないので、本質的な解決に繋がらない。物価高は収まるどころか、火が燃えさかるような形で、インフレ加速になりかねない」
高市総理は「不安を希望に変え、強い経済を作る」と強調しますが、円安を放置すれば、国民の不安は高まる一方です。
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