■10月27日の総選挙には「論戦から逃げる解散」との批判も
皇居での親任式と認証式を終え、記念撮影に臨んだ石破新内閣。
このあと総理官邸に移動し、会見に臨んだ石破新総理。発足した内閣をこう名づけました。
石破茂 新総理
「この内閣は『納得と共感内閣』と考えている。国民に納得・共感していただける、共感と納得の政治をまっすぐ進めてまいります」
裏金事件や旧統一教会などの問題で失った政治への信頼。石破新総理は、こう宣言しました。
石破茂 新総理
「5本柱『5つの守る』を実現し、未来をつくり、守っていくため、粉骨砕身取り組んでまいります」
「まず第一にルールを守る政治であらねばなりません。国民の皆様方の政治への信頼を取り戻すために、不断の政治改革、この姿勢が求められております」
「第二は日本を守るということ。第三は国民を守るということであります。第四は地方を守るということであります。地方こそが成長の主役であります。第五は若者・女性の機会を守るということであります。それぞれの方々の幸せ、そして人権が守られる社会にしていかなければなりません」
「すべての人に笑顔が戻ってくる、そういう日本をつくっていきたい」
官邸の階段で写真撮影をおこなった石破新内閣の閣僚たち。総理を含めた20人の平均年齢は63.55歳、女性は2人で、初入閣が13人となりました。
第102代内閣総理大臣に選出された石破氏。
地元・鳥取では…
鳥取県民
「ただ嬉しいだけです。ほんとに感動です」
官邸に入った石破総理は、組閣に着手。
呼び出しの電話を待つ赤沢議員は…
初入閣 赤沢亮正 新経済再生担当大臣
「退屈してきた、早くかかってこねえかな。誰からかかってくるの?総理だろ? こっちからかけてみようかな。前代未聞の『まだですか?』って」
なかなかかかってこない電話に落ち着かない様子。
初入閣 小里泰弘 新農林水産大臣
「しっかり頑張ります!」
こども政策担当大臣に起用される三原じゅん子氏は、参議院で当選3回。今回、初めての入閣です。三原氏はドラマ『3年B組金八先生』にツッパリ少女役で出演するなど、子役や俳優として活躍。
5年前、野党側が安倍総理への問責決議案を提出した際には…
三原じゅん子参院議員(2019年6月)
「問責決議案を提出するなどまったくの常識はずれ、愚か者の所業とのそしりは免れません。恥を知りなさい」
厚生労働副大臣や自民党の女性局長などを務めた三原氏は今後、子ども政策や少子化対策などを担うことになります。
三原じゅん子 新こども政策担当大臣
「しっかり石破政権の中で頑張ってまいりたいと思います」
総務大臣を任される村上誠一郎議員は当選回数12回のベテラン。小泉内閣では行革担当大臣を務めました。
村上誠一郎 新総務大臣
「(支持者が)「よく先生、筋を通して頑張って(大臣に)なってくれた」と。『涙が出て嬉しかった』と言ってくれたときはジーンときましたね」
村上氏は過去には安倍元総理のことを「国賊だ」と発言したとされ、党から処分を受けました。1日、石破内閣の印象について問われた際も…
村上誠一郎 新総務大臣
「株の乱高下や急激な円安も残念ながらアベノミクスのある面では負の遺産だと思うので、そういうものを対応しながらやっていく」
村上氏は旧統一教会をめぐる問題についても自民党を批判。長年、旧統一教会の問題を取材している鈴木エイト氏は…
ジャーナリスト 鈴木エイト氏
「自民党の(自己申告制の)点検についてかなり批判的な視点で語っていたので、村上議員が総務大臣にいることは旧統一教会問題に関してはプラス。岸田政権の中では再調査にまったく踏み込もうとしなかった。石破氏にとって党内基盤が盤石なものになった際には一歩踏み込んでくれるんじゃないかなと」
一方、内閣から去り行く人達は。
高市早苗 前経済安全保障担当大臣
「お世話になったすべての皆さま、取材いただき様々な記事を書いてくださった皆さまに心から御礼を申し上げます。誠にありがとうございました」
河野太郎 前デジタル大臣
「(Q.一議員としてどんな活動を)しっかりと自由民主党として総選挙に勝ち抜くことが大事だと思います」
石破総理は10月27日に衆議院総選挙を行うと表明。自民党が抱える問題について星浩さんは…
TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏
「自民党にとって非常に頭が痛いのが“裏金議員”の公認・非公認問題。『この人を非公認』・『この人は公認』と。その中心は小泉進次郎選対委員長。今まで経験したことのないような非常に厳しい作業になる」
石破総理は当初、衆議院解散の前に予算委員会の開催を明言していたため、野党側は猛反発しています。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「言ってきたことを守っていないじゃないかと」
日本維新の会 馬場伸幸 代表
「“敵前逃亡内閣”」
共産党の田村委員長は「論戦から逃げる解散」だと酷評。野党側は予算委員会の開催を求め徹底抗戦する構えです。
記者
「解散は自民党の都合だけでやってはならないと、野党の意見も聞いてじっくりこの時間をかける姿勢を示していましたが、なぜ変わられたのでしょうか」
石破茂 新総理
「早く信を問うべきだということと、ご判断いただける材料をきちんと提供するということ、そのことに努めている」
その上で派閥の裏金事件で処分を受けた議員の公認については…
石破茂 新総理
「党といたしまして、選挙区においてどれぐらいのご支持をいただいているのかをきちんと把握をしながら、公認するか否かということを決定してまいります」
会見開始から50分。まだ記者から手はあがっていますが、次の予定があるとして会見場を後にしました。
■石破新総理は人の話を聞かないイメージ? “納得と共感内閣”の行方は
藤森祥平キャスター:
1日21時から行われた石破総理の会見では「ルール」「日本」「国民」「地方」「若者・女性の機会」という、「5つの守る」が柱として強調されていました。
そして、注目されている裏金問題の再調査については「新事実が判明すれば調査が必要だという認識。必要があれば行うが、現在そういう状況にあるとは承知していない」という発言がありました。
それからもう一つ、裏金議員の公認をめぐっては「間違っても政治資金以外に使ったことがないかどうか、きちんとうかがいたい。あらかじめ提出をしていただき、公認権者である私の責任として、私も説明をする義務を持っている」のことでした。
これは、何かしらを書いて出させるということなのでしょうか?
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
提出という言葉はそういう意味でしょう。不記載があった議員にアンケートか何かを出して文書を提出してもらい、石破さん自身が自民党総裁として「この人は後任にふさわしいのかどうか」を判断し、対外的に説明できるかどうかを考えて対応するという趣旨だと思います。
そうなると、すんなり全員を「はい、公認」とはならない可能性が出てきます。
藤森キャスター:
具体的な条件や基準ははっきりしないまでも、これが当然、何かしらの参考資料になってくるということでしょうか。
石破総理は会見で「限りない透明性」ということも言っていましたが、政治とカネについて、これが十分なのかというところがありますね。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
そこも含めて、石破さんがどれだけしっかりやったという姿勢を示せるのかということになります。
小川彩佳キャスター:
15日が公示なので、どれだけ精査できるのかというところも非常に疑問が湧いてきます。
石破総理からは「納得と共感内閣」というお話がありましたが、どのような印象でしょうか?
小説家 真山仁さん:
まず、よくこんなことを言ってしまったなと思います。納得と共感を得るというのは、むちゃくちゃ難しい話ですよね。
あえて過去には問わず、未来の話をしたいのですが、総理大臣という言葉をもう少し大事にしていただきたいです。総理大臣というのは、すべての省庁や大臣の言っていることを聞いたうえで、最終的に判断する人ですよね。しかし石破さんにはなんとなく、頑固で人の話を聞かないというイメージが多くの人にあるのではないでしょうか。
総理になったとき、ちゃんと話を聞いた上でコミュニケーションをして、勝手な判断ではなくてみんなが納得する、まさにまずは大臣を納得させる判断ができるかどうか。「これからの新しい自民党政権はこの人がやってくれる」という、国民の共感を得られるようなことをやらなければいけません。
この言葉を言ったということは、石破さんは総理大臣の意味をわかっていらっしゃるのでしょう。ですから、自分ですごくハードルを上げています。我々はぜひ、本当にこんなことで納得できるのかと、ちゃんと注視していくべきだと思います。
小川キャスター:
人の話を聞かないイメージがあるということですが、実際どうなのでしょうか?
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
石破さんは今回の会見でも、初当選から38年間、いろいろな方の話を聞いてきたというような話をしていました。ある種、集大成を実現したいと思っています。
これまで考えて、話を聞いて練り上げてきた政策に石破さんは自負を持っているので、人から何かを言われてもそんなに変わらないような、柔軟性に欠けるというイメージがあるのかもしれません。
小説家 真山仁さん:
自負を持つことと、人の話を聞くということは全然違います。ぶれないことは大事なのですが、柔軟性というのが今の時代は最も重要です。
長くやってきた経験があるということを振りかざされると、企業でもそんな社長は嫌だと言われますよね。そこはぜひ、広い視野を持てる余裕を持ってほしいなと思います。
■『総選挙 最大の争点』について「みんなの声」は?
藤森キャスター:
今後の日程については、このあと9日に解散となり、27日に衆議院選挙の投開票が行われる見込みです。
NEWS DIGアプリでは『総選挙 最大の争点』について「みんなの声」を募集しました。
Q.解散総選挙の場合 最大の争点は?
「政治とカネ」…66.2%
「旧統一教会との関係」…10.1%
「経済対策」…12.6%
「社会保障・少子化対策」…2.7%
「被災地の復旧・復興対策」…5.1%
「外交政策」…1.2%
「その他・わからない」…2.2%
※10月1日午後11時16分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
小川キャスター:
真山さんは選挙に向けて、今後どのような点に注目していかれますか?
小説家 真山仁さん:
あまり時間がないのですが、やはり本当に「納得と共感」を求めるのであれば、できるだけ多くの国民とコミュニケーションを取ったり、いろいろな世代の声を聞いたりするべきだと思います。
地方が主役だとおっしゃっていますが、そうすると絶対「じゃあ都会はいいのか」という反論が出てくるわけですよね。なぜか自民党は「地方、地方」とおっしゃいますが、でもウエートはいつも中央にあるじゃないかと。
こういうところを細かく、ちゃんと1個ずつ説明できていくかということが選挙の結果につながってほしいですし、つながるという自覚を持ってほしいです。
小川キャスター:
最後に岩田さん、今後のポイントを教えてください。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
所信表明演説と代表質問が続きますが、従来は、事前にある原稿を読み上げて終わりということがほとんどでした。
しかし石破さんは今回の会見で、こうした国会での発言や所信表明、代表質問への答弁についても「自分の言葉で語りたい」「誠心誠意やってまいりたい」と話していました。そこで本当に自分の言葉で伝えられるのかどうか、「共感と納得」を得られるのかどうかが焦点だと思います。
小川キャスター:
どのような言葉で語るのか、つぶさに聞いていきたいです。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長 元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」
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