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【全日本実業団ハーフ】V候補の𠮷薗栞「今の力を出しきりたい」五輪マラソン代表5人を輩出した名門・天満屋の次期エース候補に期待

スポーツ
2025-02-08 18:13

「第53回全日本実業団ハーフマラソン」が2月9日、山口市の維新百年記念公園陸上競技場を発着点とする21.0975kmのコースで、2025海外ハーフマラソン派遣選考競技会を兼ねて行われる。


女子の優勝候補筆頭には、2年前も日本人トップとなった𠮷薗栞(25、天満屋)を推す声が多い。昨年11月のクイーンズ駅伝1区では、区間賞の田浦英理歌(25、積水化学)と同タイムの区間2位。12月の山陽女子ロード(ハーフマラソン)では1時間08分21秒と、自己記録を2分27秒更新して日本人トップの2位と健闘した。5人の女子マラソン代表を輩出してきた天満屋。その伝統を受け継ぐ𠮷薗とは、どんな選手なのだろう。


日本人1位だった2年前の経験を生かせる可能性も

大会前日の山口は、すっかり雪景色になっていた。大会関係者の懸命の除雪作業もあり開催は問題なさそうだが、レース当日の気象も低温(1~2℃)と強風(2~3m)が予想されている。良いコンディションとは言いにくい。


𠮷薗は山陽女子ロード前ほど良い状態ではないこともあり、「タイムの目標は立てていません」と言う。「外国人選手もいませんし、寒さや風で展開は変わってくると思います。とにかく力まずに走り、レース状況を見て冷静に対応したい。不安もありますが、クイーンズ駅伝や山陽に向けてやってきた練習や経験を生かして走りたいです。ポイント練習はできているので、今の力を出しきりたいですね。入賞すれば海外派遣の可能性もある大会です。2年前は2位でチャンスをいただいたのに、ケガでそれを生かすことができませんでした。今回はチャンスをつかんで、海外レースを経験したいと思います」


𠮷薗の話の中に“経験”という言葉が多く出てきた。立命大から入社して3シーズン目。すでに25歳だがマラソンはまだ走っていない。天満屋選手としては遅い部類に入るかもしれない。海外合宿は行っているが、海外でのレース経験もまだない。個人レースの全国大会上位は、2年前の今大会だけだ。


しかし2年前の経験は今回の参考になる。学生時代に日本インカレ10000m5位入賞の実績はあったが、記録的には実業団で通用するものは持っていなかった。しかし優勝したオマレ・ドルフィン・ニャボケ(USE)が10km過ぎにペースアップしたとき、𠮷薗1人がニャボケに付いた。ニャボケに引き離された15km以降も粘りの走りを見せて、今大会にも出場する川村楓(27、岩谷産業)らの追い上げを許さなかった。


2年前は最初の5kmが17分04秒と、緩やかな上りが続くとはいえスローペースだった。今大会も気象条件でスローになれば、そのときの経験を生かせるかもしれない。


ハーフでは前田の天満屋記録を更新

昨年12月の山陽女子ロードで出した1時間08分21秒は日本歴代9位だが、前田穂南(28、天満屋)が持っていた1時間08分28秒(22年)の天満屋記録を更新。前田は女子マラソン日本記録保持者であり、21年開催の東京オリンピック™、昨年のパリ五輪と五輪2大会連続代表だった選手である。


天満屋は前田以前にも、00年シドニー五輪の山口衛里(現監督)、04年アテネ五輪の坂本直子、08年北京五輪の中村友梨香、12年ロンドン五輪の重友梨佐が五輪代表となってきた名門チームだ。𠮷薗もマラソンを走るつもりで天満屋に入社した。


「(ハーフマラソンの)歴代順位も嬉しいのですが、偉大な先輩方が在籍してきた天満屋の記録を更新できたことが嬉しかったですし、自信にもなりました。前田さんからも『おめでとう。私も負けずにまた頑張る』というラインをいただきました」


前田は昨年の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒と、野口みずきが持っていた日本記録を19年ぶりに更新した。しかしパリ五輪は、直前の故障で欠場せざるを得なかった。天満屋は選手全員が、自チームの代表選手を現地で応援する。それが選手のモチベーションにつながると、武冨豊前監督がシドニー五輪から続けている。𠮷薗は現地に来た応援団に、涙ながらに挨拶をする前田の姿が印象に残っている。


「23年の名古屋ウィメンズやMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ。パリ五輪代表3枠のうち2人が決定)など、前田さんと一緒に練習や生活をしてきました。オリンピックに懸けてこられたことはすごく知っています。心の中では切り替えられていたのかわかりませんが、今後も頑張る、次のオリンピックに向けてやっていきます、という前向きな言葉を話されていました。それを聞いて速いだけでなく、本当に強い選手なんだと思いました。普段はドラマとか他愛もない話を一緒にします。すごい先輩ですが、身近に感じられるからこそ、普段の練習や生活で学べることがあります」


パリ五輪では同学年の鈴木優花(25、第一生命グループ)が、6位に入賞する走りも目の当たりにした。「肌でオリンピックの雰囲気を感じられて、本当に刺激になりました」


𠮷薗も1年後には、初マラソンを予定している。


「マラソンは大学時代から憧れというか、目標の種目でした。初マラソンからアピールする走りもしたいですけど、マラソンをしっかり走れるように5000m、10000m、ハーフマラソンで結果を出していきたいです。継続して走れるように、という気持ちがあります」


ハーフマラソンの天満屋記録保持者は、次はマラソンの日本代表入りが期待されるポジションになる。山口のハーフマラソンはもちろん、天満屋の伝統を継ぐ𠮷薗のこれからの走りに注目していきたい。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

※写真:クイーンズ駅伝スタート前の𠮷薗(24年11月)


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