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【クイーンズ駅伝】積水化学は主要3区間にスピード型の山本有真、新人の山﨑りさが出走の可能性 世代交代したチームで3回目の優勝へ

スポーツ
2025-11-17 17:00

前回2位の積水化学が、思い切った若手起用をする可能性がある。クイーンズ駅伝(第45回全日本実業団対抗女子駅伝)は11月23日、宮城県松島町文化観光交流館前をスタートし、弘進ゴムアスリートパーク仙台にフィニッシュする6区間42.195kmコースに、24チームが参加して行われる。


【写真で見る】初出場でニューイヤー駅伝の出場を決めた選手たち


区間・距離・中継所は以下のようになる。
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1区(7.0km)塩竃市地域活動支援センター前
2区(4.2km)NTT東日本塩釜ビル前
3区(10.6km)富士化学工業前
4区(3.6km)聖和学園高等学校前
5区(10.0km)仙台第二高等学校前
6区(6.795km)弘進ゴムアスリートパーク仙台
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積水化学は21年、23年と2度優勝を飾り、20年以降の5大会全てで2位以内を続けている。新谷仁美(37)、佐藤早也伽(31)、楠莉奈(31)、森智香子(32)らが主要区間を走ってきたが、野口英盛監督(45)は近年、新旧交代を考えて来た。今年は「今までの大黒柱で勝つのでなく、新しい力で勝てたら」と、昨年までと異なる陣容を目指している。それを可能にする今季の積水化学の特徴とは?


ベテラン新谷も「クイーンズ駅伝を諦めたくない」

気になるのは10000m日本記録保持者で、5年間で3区区間賞2回、5区区間2位も2回の新谷の状態だ。昨年のクイーンズ駅伝以降一度もレースに出場していないが、新谷から「クイーンズ駅伝出場は諦めたくない。メンバーを譲る気はありません」と、10月下旬に野口監督に申し出があった。


野口監督からは「ウチは(5000mのシーズンベストが)15分40秒でもメンバー入りできないチーム。みんなが納得できるレベルでないと選べない」と伝えたという。新谷がメンバー入りしたときは、区間上位の走りの準備が整ったときだ。


佐藤は9月の東京2025世界陸上マラソンに出場した(13位)。2か月のインターバルとなり、世界陸上に1500mで出場した木村友香(31)、5000mで出場した山本有真(25)を含め、「3人にクイーンズ駅伝に合わせろと言うのは酷」と野口監督も認める。それでも「(多少のマイナスはあっても)ここまで概ね順調」だという。


佐藤自身も「駅伝への切り換えは難しかったですけど、走らないとダメだと思っています」と言い切る。「監督からはどの区間でも行ける準備を、と言われていますが、短い距離の区間は人材がたくさんいます。走るとしたら3区か5区」と自覚している。


昨年の佐藤は3区で区間6位。優勝したJP日本郵政グループの廣中璃梨佳(24)に逆転され、チームも2位と連覇を逃した。「去年の結果は思い出したくありません。今年は倍返ししたい」と、いつものか細い声ながら強い意思を見せる。


佐藤は3月の名古屋ウィメンズマラソンで2時間20分59秒(日本人トップの2位)と自己記録を1分14秒更新し、自身2度目の世界陸上代表入りを決めた。駅伝では苦しい表情でも最後まで粘る走りをしてきたが、名古屋では30km以降でも表情に余裕があった。


「駅伝やトラックレースでは思いっきり体に力を入れて、それは固い走りじゃないんですけど、がむしゃらな走りをしています。マラソンでそういった走りをすると上半身が固まって動かせなくなってしまうので、苦しくてもリラックスして、楽に押して走るところを意識します」


マラソンと駅伝ではスピードが大きく違うので、同じ走りをするのは難しいかもしれない。だがマラソンの「苦しくてもリラックス」する走りを、駅伝でも何らかの形で生かせれば、例年以上の走りができる可能性がある。


1区候補は全員が区間賞の力

山本有真(25)は5000mで23年ブダペスト世界陸上、24年パリ五輪代表に入ったスピードを武器に、一昨年、昨年と2区で連続区間賞を獲得している。しかし昨年2位と敗れた直後に、「他のチームなら、代表の自分が主要区間を走らなければいけない。新谷さんと早也伽さんに負担を掛けてしまっていた」とコメント。2月には自身初10kmを32分33秒(全日本実業団ハーフマラソン10kmの部優勝)で走り、4月には15分12秒97と3年ぶりに5000mの自己記録を更新した。5月のアジア選手権5000mもそれに迫るタイムで3位と健闘している。


野口監督は山本について、「2区はもう卒業」と明言。「他の区間がしっかりハマって結果的に2区ならいいのですが、今後の積水化学を背負う選手。プレッシャーのかかる区間で勝負させたい」と起用法を話している。


山﨑りさ(23)は5月に5000mで15分26秒17、3000mでも8分59秒30と自己記録を更新した。「大学より練習の設定タイムは速いんですが、余裕度は大きくなっています」と実業団の練習にもしっかり対応している。その一方で「大学まで駅伝メンバーに入れない心配は一度もしませんでしたが、初めて外れるかもしれない“ピリピリ”を経験しています」と緊張感も持っている。


学生時代からトラックで活躍してきたが、小さい頃に高橋尚子さんの書物で感銘を受け、マラソンへの意欲が大きい。前半区間タイプの選手が多いこともあり、マラソンランナーが起用されることの多い5区への山﨑の出場も、可能性は十分ある。


新谷と佐藤のどちらかが10km区間を外れた場合、山本と山﨑のどちらかが10km区間に、もう1人が1区に起用されるのではないか。佐藤も1区の経験が20年(区間3位)と22年(同9位)にある。本人は出場するなら10kmの2区間と話したが、佐藤が1区に回る可能性もゼロではない。


木村も22年に1区で区間賞を獲得し、当時所属していた資生堂の優勝に貢献した。今季は1500mで6年ぶりに世界陸上代表入り。9月まで中距離主体の取り組みだったが、積水化学での駅伝初出走を意識して長めの距離も練習に取り入れていた。「世界陸上後、急に距離を伸ばしたわけではありません」と野口監督。「タイプとしては前半区間向き。1、2、3区で起用できれば」と期待している。


積水化学の1区は誰が走っても、区間上位で2区にタスキを渡すことができる。


優勝を左右するかもしれない2、4、6区

今の女子長距離界において、主要区間で大きなリードを奪うことができるのは、4年連続区間賞中の五島莉乃(28、資生堂)と、東京世界陸上10000m6位の廣中くらいだろう。主要区間がベテラン勢になっても、若手になっても、積水化学が大きくリードすることは難しい。主要区間で上位の流れに乗ることが最重要ではあるが、優勝するには2、4、6区がカギを握る。
 
2区が世界陸上代表だった山本や木村なら、積水化学はトップに立つ展開が見込める。そして今年は入社2年目の道下美槻(24)でも、同じレベルの走りが期待できる。道下は日本選手権4位の1500mが専門だが、今季は5000mでも15分25秒85と自己記録を30秒以上も更新した。駅伝への出場意欲は昨年から示していたが、今年はより現実的になっている。


他の選手は全員が10km区間も想定して練習しているが、道下だけは2区と4区に絞っている。2区なら区間賞を、インターナショナル区間の4区なら外国勢と小差の走りが求められる。「昨年は自分も走れず準優勝で終わってしまい、すごく悔しい気持ちが残っています。今年こそ自分が出走して優勝を達成したい。そして来年も2連覇すると、強く思っています」


ベテランの森も今年に懸ける思いは強い。昨年はアンカーの6区で、優勝した日本郵政と1秒差の2位でタスキを受けた。最初の1kmを2分55秒で飛ばして先行したが、逆転を許してしまった。普段は明るい森が、「なかなか立ち直れませんでした。悔しいというひと言では片付けられません」と真顔で語る。


今回出場すれば10回目となり、来年は6人のメンバー入りは目指さないという。今季は本職の3000m障害を走らず、1500mと5000m、9分00秒59の自己新を出した3000mを走ってきた。


「年齢によるケガのリスクも考えて、今年は3000m障害を走らない選択をしました。クイーンズ駅伝では20年も、5区の自分が逆転されて2位だったことがあります。駅伝で良い思いを何度もさせてもらってきましたが、悔しい思いもしてきました。最後に悔しさを全部晴らすような走りをしたいですね」


今年もアンカーなら“最後の駅伝”という気持ちを持って、しかし昨年の反省も含めて冷静な走りをするだろう。


そして優勝の行方を左右するかもしれない選手が佐々木梨七(23)である。21年は6区区間2位の走りで優勝テープを切り、翌22年は同じ6区で区間賞。23年は4区で外国勢と小差の区間7位で、1位をキープして優勝に貢献した。昨年は代表経験者たちが好調で気持ちで引いてしまったところもあり、メンバー入りができなかった。


「去年走れなかったので、今年は走りたい思いが強いんです。10kmの区間もあると監督から言われていて、今年は疲れていても、ジョグの量を減らしすぎないように意識してきました。他にも自分たち下の世代が引っ張ったり、ラスト1本は飛び出したりして、積極的に練習してきています。自分が外れても、“頑張ってきた選手が選ばれた”と思える練習をみんなでしてきました」


野口監督は「2、4、6区でアドバンテージを取りたい。佐々木はポテンシャルがあり、個人的には一番期待している」と話す。


21年と23年の優勝はどちらも3区で佐藤がトップに立ち、5区の新谷がダメを押すレース展開だった。今年の積水化学は主要区間のメンバーも、レース展開もそのときとは違う勝ち方を目指す。メンバーの大半が日本代表を目指すなど、選手個々が強力な積水化学だからこそ、その勝ち方を目指すことができる。


(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)


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