悪質な運転行為を処罰する「危険運転致死傷罪」。その適用をめぐり、数値基準などを盛り込んだ法改正の要綱案が法務省の部会でまとまりました。
彦田嘉之 被告
「268キロのスピードで走っていた感覚はありません」
2020年8月。首都高・湾岸線で時速およそ200キロから268キロのポルシェで乗用車に追突し、夫婦を死亡させた罪に問われた彦田嘉之被告(56)。
初公判で「制御困難な進行をしたことはありません」などと起訴内容を一部否認していましたが、きょう行われた裁判で、改めてこう主張しました。
彦田嘉之 被告
「車列はある程度の間隔を持って走っていた」
当初、過失運転致死の疑いで逮捕された彦田被告。その後、より罪が重い危険運転致死の罪で起訴されました。
危険運転致死傷罪は「制御が困難な高速度」で事故を起こした場合などに適用されますが、「適用要件が曖昧」などと批判の声が相次ぎ、法改正に向けた議論が進められてきました。
きょう、法務省の部会でとりまとめられた要綱案。「高速度」と「飲酒運転」において危険運転致死傷罪を適用する数値基準が盛り込まれました。
「高速度」では、現行の要件を見直し、▼最高速度が60キロを超える道路では、最高速度に加えて「60キロ」、▼60キロ以下の道路では、最高速度に加えて「50キロ」に。「飲酒運転」では、呼気1リットルあたりのアルコールが「0.5ミリグラム以上」などとしています。
法務省は来年の通常国会での法案提出を目指していますが、全国で危険運転致死傷罪の適用をめぐる裁判は続いています。
2021年2月、大分市で起きた時速194キロの車による死亡事故。一審の裁判所は、男(当時19)に危険運転を認める懲役8年の実刑判決を言い渡しましたが、控訴審で弁護側は過失運転致死罪の適用を主張。検察側は量刑不当などを訴えています。
法改正の議論が進む中、亡くなった男性(当時50)の遺族は…
男性の遺族 長文恵さん
「数値基準がない中、5年近く、今も闘い続けているので、今後、暴走事故がすぐに適用されることは評価したいです。基準が出来たことで捜査が不十分になったり、立証が困難になることがないようにと願います」
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