中国発のAIに衝撃が広がっています。
【写真を見る】AI業界に“ディープシーク・ショック” AI分野でも米中の摩擦再燃か ディープシークによる回答は【サンデーモーニング】
世界トップクラスのAIと同等の性能を持ちながら、開発費は10分の1以下。注目される「ディープシーク」について、手作り解説でお伝えします。
AI業界に起きた“ディープシーク・ショック”
これは1957年に旧ソ連が世界で初めて、人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功した時の記念切手です。宇宙開発で激しく争っていたアメリカは先を越されたことに衝撃を受け、「スプートニク・ショック」と呼ばれました。
今回、この“スプートニクの再来”とも呼ばれる出来事が起きたのです。
衝撃を与えたのは中国企業・「ディープシーク」が開発したAI。そこから“ディープシーク・ショック”と呼ばれています。
創業者は1985年生まれのリアン・ウェンフォン氏。ヘッジファンドを設立してAIを活用した株取引で成功を収めたのち、2023年にディープシークを設立しました。
「ディープシークR1」の性能は?
ディープシークが発表したAIの何が衝撃的だったかというと…
べースとなったモデルの開発期間は、わずか2か月。開発費用は9億円と発表。これは破格の安さで、アメリカのオープンAIが開発した「チャットGPT」の10分の1以下といわれています。さらにその性能も、去年9月発表モデルの「チャットGPT」と同じ程度とも報じられています。
ディープシークのAIは対話型で、質問すると何でも答えてくれます。例えば、「トランプ大統領との付き合い方を30文字以内で答えて」と質問すると…「強く毅然とした態度で、交渉を優位に進めるべきです」と回答。
ただ、中国企業が開発しただけに、こんな制約もあります。天安門事件について尋ねると…「回答できません。話題を変えてください」と答えました。
“格安”のワケは「先生」と「生徒」
では、なぜこんなに安く開発できたのでしょうか。そのひとつが「オープンソース」と言われる、誰でも無料で利用できるデータやAIの活用です。
ディープシーク社は、大量のデータを先に学習し終わった他社の大規模なAIを先生役とし、自社の小規模なAIを生徒役にしました。そして、先生役のAIに対して質問を繰り返すことで効率良く学習させたといいます。先生役のAIには高性能な半導体が大量に必要ですが、生徒役にはそこまでの性能は必要なく、低コストで開発できたと一因と考えられているのです。
また、ディープシークのAIもオープンソースとして公開されています。AIに詳しい安野貴博さんは「大規模な投資ができない企業でも高性能なAIを開発できる可能性が示された。ディープシークのAIに改良を加えて、独自のアプリを開発したい企業・研究者にとっても朗報」と指摘します。
ディープシークの“不正利用疑惑”
一方で、こんな疑惑も…
アメリカのブルームバーグ通信は、ディープシークが「オープンソース」ではない他社のデータを無断でAIの学習に利用した疑いがあると報じました。アメリカ政府高官も“アメリカから知的財産が盗まれた可能性”に言及。
これをきっかけにAI分野でも米中の摩擦は避けられないのでしょうか。ディープシークに尋ねてみると…「国際的な協力や対話を通じて、摩擦を緩和する道も存在します」と答えています。
(「サンデーモーニング」2025年2月2日放送より)
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