トランプ関税に振り回される市場…。8日のニューヨーク株式市場のダウ平均株価は、一時、値上がり幅が1400ドルを上回るなど、大幅に値上がりしています。9日午後1時すぎには、日本に対する24%の関税が発動されることになっていて、先行きが見通せない状態が続きそうです。
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トランプ関税に振り回され、株価大幅反発 ホワイトハウスにはドジャースが表敬訪問
7日までの3営業日で4500円以上値を下げた日経平均株価でしたが、8日は一転、取引開始から全面高の展開に。結局、8日の終値は前日より1876円高い、3万3012円で取引を終えました。
トランプ関税に市場が振り回される中、7日、ホワイトハウスでは昨シーズン、ワールドシリーズを制したドジャースが表敬訪問。選手たちが壇上で待つ中、現れたのがトランプ大統領です。
トランプ大統領
「ナショナルリーグMVP、ショーヘイ・オオタニ」
大谷選手と握手をかわすと...
トランプ大統領
「映画スターのようだね」
「メジャーリーグ149年の歴史で他に類を見ない偉業を達成した」
その後、執務室へ招かれた大谷選手と記念撮影。自らメダルをプレゼントします。
トランプ大統領
「来てくれて嬉しい。会えて光栄だ」
大谷選手は試合後、トランプ大統領の印象について聞かれると…
大谷翔平選手(30)
「本当に光栄ですし、印象は思ったより背が高かったので、そこが一番の第一印象」
米の担当閣僚「日本は優先される」 日鉄のUSスチール買収計画にも動き
一方、トランプ大統領はというと、関税政策をめぐり7日、石破総理と電話会談。互いに交渉担当を置くことで合意しました。
日本側は、赤沢亮正経済再生担当大臣。アメリカ側はベッセント財務長官とグリア通商代表になりました。
ベッセント氏は7日、テレビ番組で日本は関税をめぐる交渉で「優先される」との見通しを示しました。
ベッセント財務長官(7日)
「日本は軍事的、そして経済的にとても重要な同盟国です。日本は交渉に非常に早く名乗りをあげたので優先されるでしょう」
この発言により、関税見直しの交渉が進むとの期待が広がり、悲観一色のマーケットに光がさしました。
こうした中、日本製鉄によるアメリカ鉄鋼大手USスチールの買収計画について大きな動きが。トランプ大統領が政府の「外国投資委員会」に改めて審査するよう命じる文書に署名したのです。
再審査の道が開かれたことで一転、実現に向けて前進する可能性が出てきました。
そのトランプ氏が、こだわりを見せているのが「車」です。
アメ車販売店「市場開放」で“障壁の緩和”に期待
トランプ大統領
「私は(日本側に)こう伝えた。『あなたたちは自分の国を開放しなければならない』と。我々は日本でまったく車を売っていない。ゼロに近い。一方で日本はアメリカに何百万台もの車を売っている」
アメリカの自動車が日本でも売れるよう、市場を「開放」するよう求めたというトランプ氏。日本自動車輸入組合によると、2024年1年間で日本で販売された新車の輸入車のうち、アメリカ車の割合は全体の7%ほどにとどまっています。
埼玉・所沢市にある、アメリカ車の販売店「キャルウイング」では、新車から中古車まで80台ほどを取り扱っています。こちらの店でのアメリカ車の平均価格は1500万円ほど。需要はここ数年、増えているといいます。
キャルウイング 植野史祐竜さん
「個人的には期待しているところが多くある。市場は、日本に輸入するアメリカ車に関して規制がとても厳しく設けられている」
今、日本へ輸入されるアメリカ車に関税はかかっていませんが、販売する場合、日本独自の安全基準などを満たす必要があり、障壁となっていると話します。
店の担当者は、トランプ氏が求める「市場開放」によって障壁が緩和されることを期待しています。
キャルウイング 植野史祐竜さん
「色んな車種を取り扱える状況ができれば、よりアメ車の良さを知っていただけると思う。今より安価な金額で、案内できる状況になると思います」
「もう限界」外国人観光客から不安・批判の声 中国人は自国の対応を評価
一方で、日本を訪れている外国人からは...
アメリカからの観光客
「馬鹿よ。モノの値段がどんどん高くなって、私たちはまだ耐えられるけど、多くの人にとってはもう限界よ」
「交渉なのかもしれないけど、人を苦しめるような交渉は良い政策じゃない」
香港からの観光客
「物流関係の仕事をしているんですけど、関税が引き上げられた影響はとても大きくて、多くの貨物機が運行停止して、輸出もとまりました」
アメリカからの観光客
「アメリカは日本からたくさんのものを輸入しているでしょ?良い車だって、良い電化製品だって…値上がりしないのは、大好きな日本文化ぐらいじゃない?」
一方、トランプ関税に対する自国の対応を評価したのは、中国人観光客です。
中国人観光客
「彼(トランプ氏)がやっていることは長く続かないでしょう。長期的に考えたら全然心配していない。中国政府はちゃんと政策を出して対応してくれる」
中国は相互関税への報復措置として、アメリカからの全ての輸入品に34%の関税を課すとしています。これに対し、トランプ氏は自身のSNSに「中国が8日までに34%の関税引き上げを撤回しない場合、9日から50%の追加関税を課す」と投稿しました。
アメリカメディアは、ホワイトハウス関係者の話として、中国への関税率が104%になると伝えています。
中国政府は「とことん戦う」としています。
日本に対する24%の関税は、9日午後1時過ぎから発動されることになります。
トランプ関税発動へ 世界の市場が混乱…日本への影響は
藤森祥平キャスター:
トランプ関税の日本への影響は、どのような見通しが立つのでしょうか。
いろんな試算が出ていますが、大和総研の久後氏の試算ではトランプ関税による日本への影響について、2029年の実質GDPが1.8%下がるというデータがあります。
一方、米中の貿易摩擦がより激しくなることを考慮すると、日本のGDPが漁夫の利でアップするという試算を出しているところもあります。いろんなデータがありますが、どのように受け止めればいいのでしょうか。
教育経済学者 中室牧子さん:
日本への影響に関して言えば、輸出が下がると予想されるので実質GDPが下がると考える人も多いかなと思います。一方で、中国やインドのように日本より高い関税を課せられている国もあります。そうすると、置き換えて日本の輸出が増える可能性も考えられます。
国際貿易の場合、相対的な競争力と他の国が報復関税を課していくことに依存するので、長期的な影響の予測というのは、そう簡単ではありません。
ただ、「囚人のジレンマ」と言って、いわば全員が不利になるような状況に陥りやすいと言われていますので、ここはやはり冷静な対応が必要とされるところではないかと思います。
小川キャスター:
トランプ氏が大統領に就任してから3か月経っていません。日本に対する24%の関税は、9日午後1時過ぎから発動されるということです。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
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