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高市総理の物価高対策 家計の負担はいくら減る?「ガソリン減税」「年収の壁」「消費税減税」…政策の実現度は何%?【Nスタ解説】

経済
2025-10-22 21:47

高市総理への期待感もあり、日経平均株価は5万円台目前に迫っています。新たな政権が発足し、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?


【写真を見る】年収の壁に消費税減税 専門家に聞いた「軽減度と実現度」


高市総理の物価高対策 家計の負担はいくら減る?

井上貴博キャスター:
高市早苗総理は21日の就任会見で「高市内閣の最優先事項 国民が直面する物価高への対応」と話しました。

そこで専門家に、現在、掲げられている政策が実行できた場合の▼家計負担の軽減額、▼実現度予想を聞きました。ただ、家計負担の軽減額は年収や世帯人数によって変わります。平均で算出をしました。目安としてください。


まずは『ガソリン税(暫定税率の廃止・1世帯 / 年間)』です。
●家計負担の軽減:2.6万円
●実現度予想:90%
星浩氏「野党の要求に自民が乗る形だから実現するだろう。財源は税収の上振れ分か」
(家計負担の軽減:第一生命経済研究所 熊野英生氏 / 実現度予想:TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏)


『電気・ガス料金の補助(1世帯 / 年間)』です。
●家計負担の軽減:1.0万円
●実現度予想:90%
星浩氏「今年度の予備費など財源があるから実現か、早ければ12月1日から」
(家計負担の軽減:第一生命経済研究所 熊野英生氏 / 実現度予想:TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏)


『年収の壁(178万円まで引き上げの場合)』です。
●家計負担の軽減
・年収300万円→減税(年)9.3万円
・年収500万円→減税(年)11.3万円
・年収800万円→減税(年)19.8万円
・年収1000万円→減税(年)20.8万円
●実現度予想:30%
星浩氏「財源確保が難しい。国民民主党が政権に入らなかったので無理に引き上げない」
(家計負担の軽減:大和総研 是枝俊悟氏 / 実現度予想:TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏)


『消費税の減税(食品2年間 ゼロ・1世帯 / 年間)』です。
●家計負担の軽減:8.8万円
●実現度予想:10%
星浩氏「必要な財源は約5兆円。継続協議になっていることから見てもほぼ実現しない
(家計負担の軽減:大和総研 山口茜氏 / 実現度予想:TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏)


東京大学 斎藤幸平 准教授:
生活が苦しいので減税を求める声に理解はあるのですが、一方で減税を行っても“次に繋がっていかない”ことが問題だと思います。

例えばガソリン減税を行い、みんながガソリン車に乗ってしまうと電気自動車への転換が進みませんよね。

株高を上げていったり、減税をしてその浮いた分をみんなで投資しようというのもありかもしれませんが、やはり実体経済に繋がるようにしたほうがいいと思います。

新しい雇用を生み出し、賃金が上がっていくというビジョンが見えてこないなとずっと感じています。

私は株価がどうみたいな話ではないところを応援したい気持ちで電気自動車に変えました。(電気自動車への転換は)新しいマーケットを作り、しかも環境にいい。そのようなポジティブな社会転換を含めながらの実体経済です。


出水麻衣キャスター:
ガソリン減税について、自家用車のガソリンや軽油なども対象にするという議論もあります。運搬に使われる車の輸送費が安くなれば回りまわって私たちの手元に届く商品が少し安くなるというループが見えるようになればいいなと思います。


積極投資で給料上がる?“アベノミクス”と“サナエノミクス”比べてみると

井上キャスター:
なかなか循環に繋がらないというのは安倍政権のときから報道がなされていましたが、“アベノミクス”と“サナエノミクス”どのような違いがあるのでしょうか。

“アベノミクス”はデフレを脱却することを目指すために、低金利政策を打ってきました。低金利にすることで大企業はお金を借りやすく、お金が回っていくということで、それが中小にまわり、「皆さんのお給料が上がるまで待ってください」という話でした。

しかし、大企業が受けた恩恵は大きかったものの、それに比べて国民の恩恵は小さかった。この部分の具体策が欲しいということで、“サナエノミクス”は積極財政で経済を底上げするようです。

高市総理は投資先の具体案を示したと言われています。今までは、借りやすくする、経済を回す、デフレを脱却するということはできていたけれども、具体的にどういうところに成長を促していくのかが問題でした。

高市総理は半導体、造船、地方中小企業をとにかく後押しし、賃上げをしていきたいということです。経済アナリストの馬渕磨理子さんは、「経営者は成長のビジョンが見えるので、賃上げに繋がる」と見ています。


一方、株がよく回っていくだけでは駄目で、円安が進んでいってしまうと、よりインフレが加速してしまうという指摘もあります。「物価を下げる基本的な対策は利上げだが、高市総理は利上げに慎重」と星浩さんは見ています。

高市さんの言動を見ていると、物価を下げるということより、物価高はある程度仕方ないけれど、それに見合うだけの賃金をどう上昇させるのかという考え方のような気がします。


斎藤幸平 准教授:
やはり、利上げができず「株高株高」とアベノミクスから言っている時代で、結局産業の転換が起きないまま、円の実力が下がってきているところまで来ていると思います。

このまま、また積極財政で利下げみたいな形になり円安が加速してしまえば、インフレで人々の暮らしはますます減税よりも苦しくなるし、さらには外国人たちによってもっと日本が安く、オーバーツーリズムとか、土地が買われるみたいなことになってしまえば、「これが愛国保守なのか?」という声は上がってくると思います。


井上キャスター:
このままいくと、日本が安く貧しくなってしまうのではないかということでしょうか。


斎藤幸平 准教授:
それを加速させてしまうような、インフレ下での積極財政にはそういうリスクがやはりあるのではないかということですね。


井上キャスター:
一方で政府としては、やはり経済を回して成長させて、もう一度豊かな国にしたいというところがどうなっていくのか、分岐点を迎えています。


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<プロフィール>
斎藤幸平
東京大学准教授
専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破


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