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政権発足から1年…トランプ氏が描く「大国パワーによる世界統治」とは?【Bizスクエア】

経済
2026-01-22 06:30

トランプ政権第2期がスタートして1年。ベネズエラへの軍事攻撃に続き、グリーンランドの領有を要求するトランプ氏が描く世界とは?


【画像で見る】アメリカ 利下げ圧力の理由は?


力ずくで“米国第一”鮮明に

新年早々の1月3日未明、ベネズエラに大規模攻撃を行ったアメリカ。他国の領内で力ずくで大統領を拘束、アメリカに移送し裁判にかけた。


トランプ大統領(3日):
「我々は世界最大級のアメリカの石油企業を投入し、数十億ドルを投じて壊れたベネズエラの石油インフラを修復させ、この国に収益をもたらすようにする」


また、トランプ氏が領有に意欲を示しているデンマーク自治領のグリーンランドを巡っては14日、米・バンス副大統領らとデンマークのラスムセン外相らが会談。


会談後、ラスムセン外相は「アメリカがグリーンランドを領有する必要があるかを巡り、我々とは“立場が大きく違う”。我々は全く必要ではない」と話す一方で、今後作業部会を設置し話し合いを進めるとしているがー


トランプ大統領(14日):
「我々は本当にグリーンランドが必要だ。我々が領有しなければロシアと中国が介入するだろう。デンマークには何もできないが、我々なら全てを成し遂げられるのだ」


そしてトランプ氏は17日、グリーンランドの領有に同調しないイギリスやフランス、ドイツ、デンマークなどヨーロッパ8か国に対して、2月から10%の関税を課すと表明した。


米・露・中「大国パワーによる世界統治」

さらに、25年末に始まった経済悪化に対する抗議デモが反政府デモへと拡大しているイランへの軍事介入もちらつかせ、力ずくで「アメリカ第一」をますます鮮明にするトランプ政権。


共同通信で米・ワシントンやイランの特派員を務め、アメリカ政治を知り尽くす杉田弘毅さんは、ベネズエラ攻撃の背景には、「アメリカの強大なパワー発揮を長らく制限してきた枠組み」への苛立ちがあると指摘する。


『共同通信』客員論説委員 杉田弘毅さん:
「要するに国際的な規範や国際法、国連の縛りがあるために、“アメリカが本来持ってるパワーを発揮できてこなかった”と。アメリカのパワーを削ぐ形で国際機関がアメリカをがんじがらめに縛りつけていたという発想がトランプ氏とその周辺にある。それをかなぐり捨ててアメリカは本来すごいんだということを世界に発揮して、“影響圏”さらに言うと一番重要な“資源”を取りにきた感じがする」


トランプ政権は「力による支配」で世界地図をどう書き換えようとしているのかー


杉田さん:
「今回も<ドンロー・ドクトリン>とか言っているが、中国やロシアの進出を止めると。あるいはもう既に進出しているわけだが、それを排除していく形で、まず“影響圏拡大の第一歩を中南米に広げていく”」


そして、グリーンランドにも“ベネズエラと共通する利害”があると話す。


杉田さん:
「当然グリーンランドにあるレアアースなどいろんな資源を、独占的にアメリカ企業がビジネスできるような形での何らかの協定を結んでいくことを考えている。この開発が世界にとって非常に重要な意味を持つので、グリーンランドおよび北極海へのアメリカの支配力を強めていくために、中国とロシアの影響を排除していく」


――トランプ氏の描く世界は、いくつかの大国が自分たちの影響圏を作っていくということか

杉田さん:

「まずは中南米に影響圏を作って、その間恐らくユーラシア大陸の中心部と東ヨーロッパに関してはロシアの影響圏をある意味認めていく。東アジア地域においては日本とオーストラリアがあるので、中国に全てを差し出しているわけではないと思うが、台湾は中国による併合も認めていくことを考えていると思う。一つはアメリカの影響圏をしっかりと確保できるということと、大国パワーによる世界統治を実現することによって、世界が安定するという考え方だと思う」


伸び悩む支持率…中間選挙の勝算は?

発足から1年のトランプ政権は、アメリカ国内ではどう受け止められているのかー

ワシントン支局の涌井文晶支局長は、「支持率は厳しい状況」と話す。


<CNNの世論調査>(16日)
▼トランプ大統領を支持する:39%
▼トランプ政権1年目は失敗:58%


涌井支局長:
「CNNの世論調査では、過半数の国民はトランプ政権のやりたい放題に喜んでいないという結果が示された。また、ベネズエラの攻撃は独裁のマドゥロ政権を打倒したということで一定の支持はあるが、グリーンランドの領有に向けた威圧や、FRBパウエル議長の検察による捜査などは多くの人に『やりすぎ』と受け止められている。グリーンランドの領有に向けてアメリカ軍を活用するという案については、共和党支持層でも85%が反対と回答している」


当初は、関税交渉を早めに片付け、中間選挙に向け国内経済対策に注力すると言われていたが、年明けからは国外関連の動きばかりが目立つ状況に。


選挙激戦地、ペンシルベニア州のフードバンク(食料の無料配布場)を取材すると、有権者からは不安や不満の声が聞こえた。


▼「家賃で給与の半分を持っていかれる」
▼「食料価格がとんでもなく高い。20年前とは大違い。生活が苦しく、私はシングルマザーで助けが必要」
▼「仕事を2つ掛け持ちしているが、日々の支払いと家賃でほとんどなくなる。多くの補助金が削減され、その打撃を受けているのは私たちだ」


――今後トランプ政権は、中間選挙に向けてどのように支持拡大を図ってくるのか

涌井支局長:

「ホワイトハウスの幹部らは、中間層の支持回復に向けて経済対策にもっと注力すべきだとトランプ大統領に働きかけているようだ。ただ、年明けのベネズエラの攻撃が鮮やかに成功したこともあり、大統領本人は、イランやグリーンランドでも同じように劇的な状況転換が図れるのではないかと、ある種高揚した気分になっているとも言われている。なかなか内政に関心が戻ってこないとの指摘もある」


とはいえ、政権としては物価高対策の準備を始めていて、中間選挙の前には“トランプ関税を原資にした給付金”を出す予定だが、そこにも問題があるという。


涌井支局長:
「25年に導入した相互関税は、最高裁で違憲判決を受けるかもしれない状況で、還付を命じられれば給付金の財源が揺らぐという指摘も出ている。また、中間選挙では与党側が苦戦することが多いこともあり、下院では民主党が過半数を取り戻すのではないかという予想が広がっている」


政権発足1年で「経済の現状」は?

米・労働省が13日に発表した25年12月の消費者物価指数は、前年同月比2.7%の上昇となっている。


▼【総合指数】2.7%
▼【コア指数(食品・エネルギー除く)】2.6%
▼【エネルギーを除くサービス】3.0%


ただ、慶応義塾大学教授の白井さゆりさんは「外食は4%、電気料金は6%、家賃は3%台の上昇なので生活は相当苦しい」と指摘する。


――マクロの数字データを見るとアメリカは消費がそんなに落ちていないが、やはり人によって相当差があるということか

『慶應義塾大学』総合政策学部教授 白井さゆりさん:

「アメリカの25年7~9月の成長率は4.3%だが、半導体やAI、その関連のデータセンターの投資が非常に大きい。2025年の暦年の成長率も2%ぐらいと言われていて、そこだけ見ると『関税を引き上げた割には経済が強い』となるが、AIや半導体データセンターの影響を除くと1.3か1.4%ぐらいの成長しかできなかった。また、テクノロジー企業のマグニフィセント・セブンが株価を引っ張って富裕層が豊かになりたくさん消費するから、消費も強く見える」


「住宅ローン」「カードローン」も高いまま?

消費が2極化する中で、「生活困窮」の声も高まっていることが「利下げ圧力」にも繋がっているという。


『慶應義塾大学』総合政策学部教授 白井さゆりさん:
「アメリカの30年固定金利住宅ローンは、10年物国債利回りをベースに決まっているが、6.06%(1月15日時点)で横ばい。これを下げたいと中央銀行に圧力をかけている」


――ただ、政策金利が下がっている割には10年金利が下がっていない。これは放漫財政へのリスクプレミアムが乗っかっていると

白井さん:

「財政プレミアムも入ってしまっているので、FRBを叩いて仮に利下げができても住宅ローンが下がるかは必ずしも保証されない。また、クレジットカードのローンは20%と高い状態で横ばい。これを上限10%に抑えたいと発表したが、議会で法案を通さないとできないので無理だと思う」


(BS-TBS『Bizスクエア』 2026年1月17日放送より)


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