
世界陸上で熱戦が繰り広げられた「国立競技場」の呼び名が変わります。施設などに名前がつけられる「命名権」。スタジアム以外にも広がっているんです。
【画像を見る】「MUFGスタジアム」に名前を変更した国立競技場
「国立競技場」の呼び名変更新名称は「MUFGスタジアム」
数々の名シーンが記憶に新しい世界陸上。熱戦の舞台となった「国立競技場」の呼び名が新たなものになると発表されました。
その名前は「MUFGスタジアム」。
JNSE 竹内晃治 社長
「MUFGスタジアムとして、新たな歴史を刻んでまいります」
MUFG=三菱UFJフィナンシャル・グループが国立競技場の「命名権」を取得したのです。関係者によりますと、契約は5年間で100億円程度となる見込みだといいます。
三菱UFJフィナンシャル・グループ 亀澤宏規 社長
「(国立競技場は)神聖な場所でもありますので、我々としてはシンプルに名前をつけた」
東京オリンピックに合わせて、全面的に建て替えられた国立競技場。整備に1569億円の費用がかかり、大部分が公費でまかなわれました。
これを圧縮するため、2025年4月に運営を民営化。命名権を募集していました。
誰もが一度は耳にしたことがある国立競技場。「MUFGスタジアム」に変わることに…
街の声
「えっ!知らなかった。国立…残してほしかった」
「決まってしまうのだったら仕方ない。経営で工夫していくのはいいこと」
道、階段、公衆トイレ…自治体の貴重な収入源の1つ「命名権ビジネス」
スタジアムで広がる命名権。その先駆けは、東京・調布にある「味の素スタジアム」。2003年に味の素が、5年間12億円で命名権を取得しました。
その後各地に広がり、最近では、「エスコンフィールドHOKKAIDO」の命名権を、不動産のエスコンが年間5億円以上の金額で取得。ただ、いずれも年間で数億円が相場です。
年間20億円程度という“破格”のMUFGスタジアム。効果はあるのでしょうか。
新潟経営大学 島田達人 准教授
「(MUFGが)今更あえて名前を売るというよりは、差別化が難しい金融商品の世界の中で、他行と圧倒的に違うという格を得る」
この「命名権」、実は自治体にとっては貴重な収入源になっています。
千葉・木更津市の山の中を通る1本の道。実は「ポルシェ通り」と名付けられているんです。道沿いにポルシェの体験施設があることが理由です。自治体には年間で124万円が支払われています。
他にも、横浜市では「駅前の階段」や「公衆トイレ」まで。トイレの管理は企業が行います。
島田達人 准教授
「施設を維持管理していく上では、自律的に施設の方が財源を確保していくということは、絶対必須の条件になってくる」
自治体にとっても、企業にとってもメリットがある“命名権ビジネス”。ますます広がりそうです。
命名権のデメリットも…変更に伴う膨大な費用問題
井上貴博キャスター:
win-winの形ですが、一度決めると変更するのがなかなか難しいという現状があります。
例えば、横浜市にある「日産スタジアム」では、日産の経営不振を理由に「契約金を下げてもらえないか」というのがありました。今年度は1億5000万円だったのを、来年度5000万円でどうかと協議をしています。
もし契約がなくなり、名前を変更するとなった場合、日産スタジアム周辺の標識など、今まで市民が親しんできた、全ての名称を変更しなくてはなりません。市にとっても膨大な費用がかかる見込みです。
設置したときも1億円以上かかっていると言われているので、収入が少なくなったとしても、横浜市は5000万円の契約で、日産と協議した方がいいかもしれないというせめぎあいがあるそうです。
出水麻衣キャスター:
2005年から「日産スタジアム」と呼ばれていて、それ以前は「横浜国際総合競技場」という名前でした。今そちらの名前を聞いてピンとくる方は少ないと思います。費用面もそうですが、皆さんにとっての心理的な親しみもなくなってしまうのは、少し寂しい気もします。
井上キャスター:
日産としても、ようやく日産スタジアムがうまく軌道に乗ったため、「なんとか(名前を残したい)」という思いもあるのだろうと思います。
福岡にある「みずほPayPayドーム福岡」内に「マルタイ棒ラーメンポール」というものがありまして、ここに選手がホームランを打って当てると、1年分贈呈されるというユニークな取り組みも行われているということです。
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