30年ぶりの水準まで上昇 そもそも「金利が上がる」とは?
0.75%まで引き上げられた政策金利。これは1995年以来30年ぶりの水準ですが、裏を返せば、その間、日本経済は、ほぼ金利がない状況が続いてきたわけです。
【写真で見る】 元日銀理事 「⻑期金利」の上昇に懸念「悪循環になりかねない」
そもそも「金利がある」「金利が上がる」とはどういう状況なのか、改めてみてみましょう。
身近に感じられる金利は、お金を預けたり借りたりするときの利息ですが、金利が上がると預けたお金が増えるスピードが上がります。現在の定期預金は0.275%程度なので、預けたお金が倍になるには250年以上かかります。
しかし、金利が高かった過去には8%の利息が付く預金もあり、当時は、過去預けたお金が10年足らずで倍になっていました。
金利が高いと貯金が早く増えていく一方、借りたお金を返す場合には、借金がなかなか減らず、最終的に返済する総額が増えていきます。
住宅ローンの場合、現在は1%ほどの利息で借りられますので、5000万円を返済期間35年で借りた場合、トータルで払うのは6000万円ほど。これが2%になると7000万円、5%になると1億円を超えます。
金利の上げ下げ…効果・目的は?
「物価の番人」と呼ばれる中央銀行、日銀は、どんな時に何のために金利を上げたり下げたりするのでしょうか。
金利を下げるのは一般的に、経済活動が停滞して物価が下がるデフレの局面です。利下げすると利息が減ってお金を借りやすくなるので、経済活動が活発化して景気が良くなり、モノがよく売れて物価が上がることが期待されるのです。
逆に、現在のように物価が上がり続けるインフレの局面では、金利を上げ、この循環を止めることで物価を下げようとするのです。
懸念されるのは「長期金利」上昇による悪循環
そして、今回の物価高については、大きな要因の一つとして円安がありますが、利上げには、その円安を抑える効果も期待されています。
金利が上がれば、資金を円で運用する際の利回りが高くなるので、海外の投資家などが円を買う動きが増えて円の価値が高まる効果があるのです。
今回の利上げについて、元日銀理事・早川英男さんは、「これ以上円安が進むと日本経済がもたない。本来なら早く上げたかったが、トランプ関税の影響や金融緩和の継続を志向すると見られた高市政権の誕生など、不確定要素があり、このタイミングになった」と分析します。
今回、日銀が金融政策として引き上げたのは、短期で動く金利ですが、早川さんは、もう一つの金利、「⻑期金利」の上昇に懸念を示します。
「⻑期金利」は、日銀が直接コントロールできず、債券市場の動きに左右されます。
「10年国債」の信用力が低下して価格が下がると金利が上がる関係にありますが、これが、12月19日、2%を超え、26年ぶりの水準まで上昇したのです。
早川さんは、「市場から日本の財政状況が危ないとみられるほど⻑期金利が上昇し、そうなれば国債の利払いが増え、さらに財政が悪化するという悪循環になりかねない」と指摘しています。
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・【全文公開】“ラブホテル密会” 小川晶・前橋市長の謝罪会見【後編】「どちらからホテルに誘うことが多かった?」記者と小川晶市長の一問一答(9月24日夜)
・「あんな微罪で死ぬことはないだろう…」逮捕直前にホテルで命を絶った新井将敬 衆院議員「この場に帰って来れないかもしれないけども、最後の言葉に嘘はありませんから」【平成事件史の舞台裏(28)】
