
今年、陸上界で最も飛躍をした選手を称える日本陸上競技連盟主催のアスレティックス・アワードが29日に東京・国立競技場で行われた。新人賞には、運動記者クラブ推薦として星稜高校2年の清水空跳(16)が選出された。清水は7月のインターハイ(広島)男子100mで、桐生祥秀(29、日本生命)の持つ高校記録を0.01秒上回る10秒00の新記録を樹立。18歳未満の世界最高記録を打ち立てた。東京2025世界陸上のリレーメンバーにも選出され、その名が世界に知れ渡った。東京世界陸上男子200mで金メダルに輝いたノア・ライルズ(28、アメリカ)は「僕の16歳のときとは比べ物にならないほど速いよ」と舌を巻いた。アワードの式典後、世界最速の高校生となった清水に、飛躍のシーズンとなった今季と来年への想いを聞いた。
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16歳で打ち立てた10秒00の高校新記録「自分にとっては努力の1年だった」
Q.飛躍を遂げたシーズンだったと思いますが、今季で一番印象に残っている試合は?
清水選手:
一番は広島インターハイです。
Q.そこから変わったことはありますか?
清水選手:
大きく変わったなと思います。記録が記録ですし、いろんな方に知ってもらったり。本当に注目される、一目おかれる存在になれたのかなって思います。
Q.シーズンはあっという間でした?
清水選手:長かったですね。
Q.一言で、どんなシーズンでしたか?
清水選手:努力の1年でした、自分にとっては。
Q.どんな努力をしましたか?
清水選手:
4月の頭からユースの日本代表に選んでもらって、サウジアラビアのU18アジア選手権で優勝できたことに始まって。優勝したんだから絶対やるしかないなっていう風に思っていました。でも、こんな風に10秒00を出すとは思ってもいなかった。結果的にこんなにいい感じで終われたのは、頑張ったなって自分でも思います。
Q.去年から高校記録を掲げて、こんなに順調に高校記録を破れると思っていました?
清水選手:
3年間の目標として言っていて、高校2年でクリアするつもりではなかったので。早いなって、自分でもそんな感じです。
Q.ライルズ選手も清水選手の走りに驚いていました。
清水選手:
テレビでライルズ選手が話している映像を見たとき、最初なんで知っているん だ!?っていうのが、それが大きくて。色々語ってもらえて嬉しかったです。
Q.一緒に走りたい想いも湧いてきましたか?
清水選手:
そうですね、やっぱりまずは世界の舞台に立って、自分がその世界の舞台で走るっていうのが目標なので、本当に世界の決勝の舞台でライルズ選手だったり、他の強豪の選手と戦いたいです。
東京世界陸上リレー代表選出もメンバー入り叶わず スタンドから見た景色とは
Q.東京世界陸上をどのように見ていましたか?
清水選手:
そうですね、一番は走りたかった、悔しいなっていう思いで見ていました。
Q.あの舞台に立ちたいって思いはより大きくなりました?
清水選手:
そうですね。世界に出られるんじゃないかって、招集かかったときにワクワクしながら行ったんですけど、やっぱり実力が全てっていうことで悔しい結果になったので、絶対また再来年だったり、次の次だったり、目標にしていきたいです。
Q.初めて代表合宿に参加してみて、何を感じました?
清水選手:
最初にナショナルトレーニングセンターに入ったときは、本当に緊張して誰も話せる人がいないんじゃないかって思っていたんですけど。でも少しずつ練習を重ねていって、井上選手だったり、栁田選手だったり、コミュニケーションを取ってもらって、1週間ほどで環境に慣れることができました。
Q.一緒に生活することで印象的だったことは?
清水選手:
リビングで代表の皆さんと一緒に、中島佑気ジョセフ選手の決勝だったり準決勝を見ていて、みんなトップ選手で陸上をやっているのになんか同じ空間にいるっていうのが不思議な感覚で。みんな楽しんで見ていて、すごいなって。こんなレベルに来られたのは奇跡なんじゃないかなっていう感覚で生活していました。
Q.一番話をした先輩は?
清水選手:
栁田選手が一番ですかね。栁田さんが一番色々話してくれたり、なんか友達みたいな接し方をしてくれたので、一番話しやすかったです。
Q.どんな人柄でした?
清水選手:
自分は栁田選手と話す前は、自分の色がある独特な選手なんじゃないかと思っていたんですけど、話してみたら優しくて。本当に絡んでくれて嬉しかったです。
Q.練習を一緒にする中で収穫は?
清水選手:
最初は、本当に真面目なピリピリした雰囲気を感じていたので、集中するんだなって思っていたんですけど、生活する中で楽しむところは楽しんでいたので、オンとオフがはっきりしていて、トップ選手でもこんな感じなんだって知れました。競技場に入って練習するときに、自分の感覚を持って自分の色を持って集中していたので、すごいオンオフの切り替えだなって思っていました。
Q.練習場では海外のトップ選手もいたと思いますが、何を感じましたか?
清水選手:
一番は日本人に比べて、”本当にデカいな”って印象でした。
Q.憧れとかはなかったですか?
清水選手:
会場に入ってしまうと、なんか不思議とこの選手がいるっていうのはなくなって、自分に集中できていました。
Q.それは、競いたいという思いから?
清水選手:
そうなんですかね。でも、無意識に自分のことだけに集中してアップができました。
Q.スタンドから決勝を見た景色はどのように映りましたか?
清水選手:
世界大会を生で観るのも初めてだったので、なんかすごく輝いて見えました。“自分もここで走りたい”って本当にその想いでいっぱいになりました。
9秒台を出して「本当の伝説を作りたい」
Q.ふつふつとした思いもある中で、この冬取り組みたいことは?
清水選手:
やることは今のところ変わってないんですけど、顧問の西野先生と相談してメニューもまた新しく追加されるものが増えると思うので、それを全力でやっていきたい。技術的なところでまだパワーが足りなかったりとか、引き出せる部分がたくさんあると思うので。股関節まわりに重点を置いて、ストライドを大きくするための練習をしていきたいです。
Q.高校最後のシーズン、来年はどんなシーズンにしたい?
清水選手:
来年は9秒台で走るっていうことを一番の目標にしていて、今年10秒00も伝説だって言われたと思うんですけど、次は9秒を出して本当の伝説を作りに行きたいと思っています。
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